第6話

サクヤ、約束守ってくれるかい。ちょっと多いよ。三つあるんだ。

そんなにあるの。

うん。でもね、その三つだけ守れたら、あとは自由だよ。何でも好きな事ができるんだ。

ほんとう?

本当だよ。だから約束守ろうね。まず一つはね、毎日読んでる〝39〟と言う本があるだろう。

ニナがまいにちよんでくれてる本?

そう、それ。あの本はね、あれ一冊でお話は終わらないんだ。続きがたくさんあるんだよ。だから一人で本を読めるようになったら、少しずつ39を読むんだよ。できるかな。

うん。

なんさつあるの。

僕もわからないな。うーん、百冊以上はあると思うよ。

そんなにあるの。

それと、他の人にサクヤが39を読んでる事や、39の事については何でもしゃべっちゃだめだよ。これが二つめ。

ふうん。

三つめは、39の事でわからない事があっても「何で? 」って誰にも聞いちゃいけないよ。僕やニナにもね。わからない事を調べてもだめだよ。

ふうん。なんで?

ほら、「何で? 」って言ったらだめだよ。はは、三つめが一番難しいかな。

よくわかんない。

サクヤ、三つだけ、三つだけなんだ。39を読む事、他の人に39について言わないこと、39について調べない事。大丈夫、サクヤならできるよ。

・・・うん。

 でもねサクヤ、三つの約束は絶対破っちゃだめだよ。僕とニナは、君の監視役でもあるんだ。

 かんしやく。

 そう。君が三つの約束をきちんと守っているか、ずっと見張っているんだ。それに、僕達が見ていない所でも、他にもたくさんの人が君を見張っているんだよ。朝も昼も夜も、毎日、ずうっと、ずうっとね。だから約束は絶対破っちゃいけない。

 __うん。やくそくまもるよ。

 でも、やぶっちゃったらどうなるの。

 破っちゃったら・・・?

 __隠されるんだよ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る