第4話

「うん。珍しいと思った」

 親友の言葉を思い出す。

「でも、僕は良いと思ったよ。親と対等みたいでさ。実際サクヤのうちって、昔からサクヤを大人扱いしてるじゃないか。何でも好きな事させてもらえるし、内心すごく羨ましかったよ」

「トムの家はそうじゃないの」

「僕の家だけじゃなくて、どこでもそうだよ。あれしろ、これしろか、あれはだめ、これはだめ。親を名前で呼ぶ? そんな事したら殺されるね」

トムと入れ替わりに、若かったピーターの顔が浮かぶ。

 サクヤ、僕とニナは本当のパパとママじゃないんだ。いつも言ってるよね。

 うん。

 だから僕達の事は名前で呼んで欲しいんだ。ピーター、ニナとね。

 うん。わかった。

 僕は紅茶を一口飲み、さらにページをめくった。

その後休憩を挟みながら四時間ほど読書をして、図書館を出た。

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