第5話
わき目もふらず、ただただ走った。
そしてもう息も足も限界というところで、ようやく車にたどり着いた。
そこで始めて俺は、後ろを振り返った。
化け物はいなかった。
が、こんなところにいつまでもいる訳にはいかない。
あの細道から突然、あいつが現れないとも限らない。
俺は車に乗り込み、エンジンをかけた。
そして車を走らせようとした時、信じられないものを見た。
寺の壁にあの穴が開いている。
先ほど洞窟に開いていたのと同じ穴だ。
そしてあいつが穴の入口付近に立ち、俺を見下していたのだ。
――!
俺は理解した。
あの穴と寺の間には、なんだかの因縁がある。
そしてここは極めて危険であるということも。
俺は思いっきりアクセルを踏み込んだ。
何時間もかけて、やっとのことで家路に着いた。
普段ならこれだけ長時間車を走らせれば、途中で喫茶店かファミレスに立ち寄るところだが、それすらしなかった。
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