第12話 【パルス】 囀る鳥達の考察

 「ねえ!村上さんの事聞いた?再婚相手のお父さんが宗教の儀式でとちって、村上さん死にかけて意識無いらしいよ。」


「えっ?死んでないの?」


「ひど!まだ死んで無いよ。」


「ハハッまだって。」


「村上さんあれだったから、お母さんが宗教に走ったんでしょ?」


「あれって何?」


「性同一性障害だっけ?」


「ああ。娘を生んだはずが、息子だったら、悩むわな。」


「でも、変な宗教らしいよ。」


「変って?」


「え?香織んとこ勧誘来てないの?うちの母親勧誘された事あるって。」


「あ~うちも入ってくれっていわれたらしい。」


「まだいいじゃん、うち、なんか買わされたみたいでさ~」


「えっ!ヤバいじゃん。」


「迷惑親子。マジ迷惑。存在が迷惑だよ~マジ勘弁してほしい。」


「まぁ、ほっといても死ねば一件落着じゃんね?」


「ハハッ確かに!」


「死ねばいいのにってセリフ本気で言う日が来ると思わんかった~。」


「まあ、死なんくても転校でしょ?」


「でもさ、あの家呪われてるよね?爺さん生き埋め。母親は頭がおかしい。娘死にかけってさ。」


「トリプルだね~」


「となると、中村ヤバくない?」


「何が?呪いが?」


「うん、なんかさっき金返せって三組の植田さんにいわれてたよ。」


「え?中村んとこ金借てんの?」


「いや、なんか代わりに返せ的な?」


「なにそれ?村上さんの代わりって事?とばっちりじゃん!」


「村上さんの親に連絡つかなないらしいよ。」


「まぁ、もう無理でしょ?」


「村上さんの呪い強烈~」


「中村災難。」


「中村のおばちゃんは良い人なのにね。」


「中村最近、佐々木に絡まれてるよね?」


「あ~残念なイケメン。」


「でも香織ちょっと好きって言って無かった?」


「う~ん。顔は良くない?」


「顔だけよくてもさぁ~。」


「なんか、こう、ミステリアスじゃない?」


「なに?ミステリアスって?怖いよ~」


「え~そうかな?何考えてるか分かんないとこ良くない?」


「でも、隠れファンはいると思う。」


「でしょ?」


「ところで話し戻るけど、何買わされたの?村上母に。」


「えっ!そこ戻る?いいよ。忘れて。」


「違う、違う。野口さんとこも買わされたらしいからさ。」


「そうなの?うちはね、水と漢方薬。」


「なにそれ?超絶こえ~。飲んだの?」


「婆ちゃん飲んだらしいのよ。お母さんに、コテンパンに怒られてた。」


「迷惑~、他人の家庭も破壊!」


「いや、破壊されては無いけど、結構高かったらしい。」


「野口さんとこは表札買わされたらしいよ。」


「えっマジで?」


「あっやば!これ言っちゃ駄目なやつだった~」


「うおぉい!聞いちゃったよ。」


「テヘペロ。」


「可愛く無いから。」


「あっうちのも言わないでね?水と漢方薬!」


「りょうかいです!」


「言う!こいつ言うよ!」


「理佳に行ったらアウトだよ~」


「大丈夫だって買わされてる家まあまああるよ。」


「大丈夫の意味が解からない。」


「でも葬式で皆一斉に引いちゃったしね。」


「ああ、生き埋め爺の葬式ね?」


「ハハッ言い方!」


「忠信さんでしょ?私、農協でちょっと喋った事あるけど、感じの良い人だったよ。」


「でも、葬式はマジでヤバかったらしいよ。」


「なんか話し聞いてさ、逆に行けばよかったって思ったもん。」


「えっ?葬式に?」


「見てみたくない?」


「ヤバいよ~。ってか村上さん死ねば行けるよ?」


「あっそうか!やばい!現実味帯びるとビビる~」


「行きなよ~白装束似合うよきっと!」


「えっそっち?やめて~」


「次つぼ買わされるんじゃね?」


「葬式で?買いません。」


「でもさ、中村んとここそ金貸してそうじゃない?」


「確かに~ありうる!」


「実際あの二人出来てたの?」


「出来てないでしょ?村上さん、あんなだし」


「だってさ、皆ビビって話しかけられなかったし」


「気に入られたら、コクられるかもよ?」


「百合的な。」


「まあ見た目完璧、百合だね」


「でも最初ビビったなあ、制服着ないとか」


「入学式は着てたよね?」


「いや、入学式出てないよ」


「えっそうなの?」


「いなかったじゃん。」


「制服燃やしたって言ったらしいよ。実際どうか知らんけど」


「小学校同じ子達はやっぱりって感じだったらしいし。」


「でもさ、カミングアウト早く無い?」


「でも。夏休み開けて金髪的なのより、潔く無い?」


「潔く迷惑だけどね~」


「ホント村上さん嫌いだよね?」


「だって親切にしたら、コクられるかもよ?」


「無いよ。向こうにも選ぶ権利がありますから。」


「まあ、コクられるのは冗談だけどさ、とにかくいちいち気に障るんだよね」


「迷惑かけてんのにさ~気取ってるっていうか、村上圭ですが何か?的なさ~。分かかる?」


「まぁ、ちょっとね。」


「だから潔いんでしょ?」


「う~ん。潔いともちょっと違うんだよね~」


「先生に対しても堂々としてたしね~」


「どこから来るんだろうね?あの自信。」


「顔でしょ?」


「顔だね!」


「でも陸上部ですら無視されてたよ?走り終わって、タイムとれてませんでした~とかやられてんのよ?」


「マジで?」


「え?記録無しってこと?」


「四百とかマジ鬼だよ。」


「え~?つらい、なんで?」


「だから、村上圭ですが何か?的なのが過ぎるんだよ!」


「あ~まあ、先生にもああだから、先輩に合わせないか~。」


「合わせないよ~こっちにもあたりきつくなるしさ~空気全く読まないしさ~。」


「それは迷惑だわ」


「あ~だんだん腹立ってきたわ~。」


「この中で一番被害受けてるかもね~。」


「え~うちも、水と漢方薬事件で被害者だよ~。」


「婆ちゃんがね?あんた実害ないでしょ?」


「わかった、わかった君がチャンピョンだ!」


「わ~い。ってなるか~。」


「ハハッ棒読み~。」


「でもさ~うちらも話しかけないけど、逆に話しかけるなオーラだしてくるじゃん?何なんだろうね?」


「立派な志でも持ってるんでしょ?」


「昌美に聞いた話だけどさ~小学校の時いじめられて、ああなったみたいな事いってたよ」


「そりゃいじめられるでしょ~。」


「いやだから、前はそうでもなかったみたいよ?知らんけど。」


「ふ~ん」


「急に興味失ったね?」


「いや、いつからなんだろうね?」


「何が?」


「自分が男だって思った時。」


「小学校なんじゃない?」


「それでいじめられて立派な志を持ったんじゃない?んで、あれが出来あがったんでしょ?私、一人で生きていきます的な!」


「どうだろうね~?」


「そうでしょ!」


「いや、逆じゃない?」


「何が?」


「私無視されてません。私が皆を無視してるんです的な!」


「マジか!」


「そっち?」


「そうだわ!それ正解!」


「相当嫌な奴になってるけど大丈夫?」


「いや、たぶん正解だと思うよ」


「ねえ、本当に村上さん死んだら、クラスで葬式行かなきゃかな?」


「ないでしょ?密葬でしょ?」


「死んだら殺人でしょ?」


「場合によるんじゃない?逮捕されて裁判で確定したらじゃない?」


「無罪だったら事故死かあ!」


「事故死だったら行かされんじゃない?」


「葬式に?間に合わないでしょ?判決出んのまあまあかかるよ?」


「そうか~。」


「何?やっぱ行きたいんでしょ?チャレンジャーだね」


「いや、やっぱ気になるでしょ」


「でもさ、さすがに儀式で死んだら、宗教捨てるでしょ?」


「あ~だね」


「残念、普通の葬式だよ」


「ハハッなんなのこの会話」


「あ~なんか喉渇いた。」


「語り過ぎた~」


「ある事ない事?」


「ある事ある事でしょ!」


「しかし、麻衣子が陸上部入ると思わんかったわ~」


「なに今さら?私、百は早いよ」


「走るとか意味解からんもん。文明の利器を活用しなよ~」


「何それ?」


「あ!解かった!」


「なに?」


「被害者ぶって悲劇のヒロイン的なのが腹立つんだよ~」


「え~戻りますか~?」

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