最後の晩餐ーーC

シ「みんな集まってくれたね、ありがたい」

ロ「馬鹿じゃないの?」

シ「いやぁ、へリィは飯に誘ったってバイトを理由に断るし

  ロッカに関しては聞く耳もたないからさあ」

シ「てっきりみんな愛想尽かして来ないかと思ってた」

ロ「今更逃げ出したりすると思ったの?

  ならとんだ検討違いよ」

シ「……心強いねぇ」

シ「ま、みんな察しはついてるって感じだね

  なら、遠慮も容赦もいらないか」


シ「明日、全てを暴きに行く」

シ「薄汚れた光に染められた世界を

  本当の夜を取り戻しに行こう」


ヘ「いや、そういうのじゃなくて」

ヘ「実際に明日何をするのか教えてくれ

  まだテロをすること、しか伝えられてないんだが」

シ「あはは、いらなかった?

  じゃあ作戦を説明しようか」


シ「目標は二ヶ所

  北部の研究所と、西部の市役所」

シ「北部へはロッカとイーリ、スプリ

  西部には私とへリィで行く」

シ「北部の指揮はイーリ。後で作戦は伝えておく

  詳しい目標は尋問対策のため直前で明かすように」

シ「最後に……全てを作戦執行に捧げること、いいね?」


イ「……じゃ、異議もないみたいだし

  さっさと最後の晩餐にしようよ」

イ「にしても豪華な料理だね

  ロッカ、張り切りすぎじゃない?」

ロ「そりゃ、多少は張り切るでしょ

  これが料理人としての最期なのかもしれないんだから」

イ「なるほど、じゃあ私も張り切って食べないと

  プロの美食家として」

ロ「穀潰しの間違いじゃない?」

イ「いいねぇ、それ

  余生は一流の穀潰しとして過ごそうかな」

ロ「いいかげん働け、バカ」


ス「あははは……あれ?

  へリィさん、どうしたんですか?」

ヘ「うーん、食欲が出ないというか

  ……胃がキリキリする、かも」

ス「だ、大丈夫ですか?」

ヘ「私、小心者だから……

  こういうでかいこと向いてないんだよ、本来」

ヘ「しかも、最後の最後まであいつのお守りだろ?

  勘弁してくれよ、マジで」

シ「おやあ、子供扱いは悲しいなあ

  私の勇姿を目に焼き付けるチャンスだぞ、光栄に思え」

ヘ「……お前も小心者だろ、ほんとは」

シ「そんな私はとうに捨てたさ」

シ「なぜなら私には守るべき仲間たちがいるから!

  ね、スプリ!」

ス「へ? そ、そうですね!」

シ「じゃあ、乾杯しよう!

  また帰ってこれることを信じて!」

シ「せーの、乾杯!」

ヘ「ったく、リンゴジュースの癖によく言うぜ」

シ「林檎酒だよ、これは

  最後くらい楽しまなきゃね」

ヘ「どっちにしたって子供騙しだ、酔えるかどうかも怪しい」

シ「おん? 試してみるかい?」

ヘ「おい、やめろやめろ!

  無理やり口に流し込むな!」

ヘ「え、な、スプリ!? 羽交い締めはやめろ!

  くそぉ、最後の最後に裏切られるとは!」

ロ「おいこら! 食べ物を粗末にするな!」

イ「よーし、ついでにこっちのお酒も飲み干せー!」

ス「イーリさん、それ割らないとまずいやつですよ!」

 「あはははは!」

 「……」

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