地下探索

シ「どうだいスプリ、ここでの生活は

  そろそろ退屈になってきた頃かい?」

ス「へ? 退屈と思ったことはないですけど」

ス「でも確かに、最近ワクワクすることはないかなあって思います

  緊張感が募っていくというか」

シ「よし、今日はそんなスプリに新たな世界を見せてあげよう」

ス「新たな世界……ということはもしかして」

シ「そう、あの回転扉の向こうのことだよ」

ス「やったー! 嬉しいなあ!

  見ずに死ねないって思ってたところだったんですよ!」

シ「そんなクレイジーな……

  じゃあ、ついてきてよ」

(エフェクト)

シ「ここを押して……ほっ!」

(音)

シ「この廊下の先は、こうなってましたっと」

ス「うわぁぁ! えっ、なにこの部屋!

  ドリルに、試験管に、拳銃?」

シ「ようこそ、我が秘密基地第二層、闇の工房へ」

イ「いつからそんなダサい名前になったのここ」

ス「うええ、イーリさん!?

  なんでドラム缶の中から!?」

イ「落ち着くからねえ

  作業するときは大体この中だよ」

ス「えぇ……」

シ「ま、それで精密な作業ができちゃうから

  文句も言えないよねえ」

シ「まあ見てわかる通り、私たちはここで武器だったり道具だったりを

  自分らで作って保管してるってわけ」

シ「私が化学的な配合をして、イーリが細かい手作業

  たまーにへリィが武器の手入れだったり動作確認をやりに来るね」

ス「すっごい……

  まさか私の寝ていた部屋の隣がこうなってたなんて……」

シ「どう? ワクワクした?」

ス「はい! すっごく!」

シ「あっはは、それはよかった

  でも危険な薬品も置いてあるから勝手に入ったりはしないこと、いいね?」

イ「もっとこの街にはワクワクするもの、たくさんあるんだ

  いつかそれを一緒に見に行けるよう、明日からも訓練頑張ろうね」

ス「はい! 頑張ります!」

シ「こら、言ってるそばから試験管に手を伸ばさない」

ス「えへへ……」

シ(意外と好奇心旺盛なのな、この娘

  もっとおとなしいと思ってたけど、可愛いところもあるんじゃん)

イ(そういえば、あの紫の薬品ってなんなんだろ

  今度いじって見るか……)

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