好奇心
イ「……」
ス「あの、シュレさん」
シ「ん、どうしたの?
さっきからぼんやりしたり、ため息ついたりしてたけど」
ス「私、イーリさんに嫌われてるんでしょうか?」
シ「え、なんで?
嫌がらせでも受けてんの?」
ス「いや、そういう訳ではないんですけど
ス「偶然あった時とかに挨拶したら、返してはくれるんですが
その後、なぜか顔をじっと見つめられるんですよね」
ス「何か気に障るようなことでもしたかなあって、心配になって」
シ「ああ、それなら大丈夫だと思うよ
むしろ歓迎されてると思っていい」
ス「へ?」
シ「イーリが観察するってことは、相手に興味があるって証拠だから
シ「本当に嫌いだったり、無関心だったなら
挨拶はおろか、あいつは視線すら合わせないだろうし」
ス「そういうものですかね」
シ「うん、大丈夫大丈夫」
−−翌日
ス「今日も買い出しかあ
街に出るの楽しみだなあ」
イ「ちょっと、いい?」
ス「はいっ!? イーリさん!?
なんで換気ダクトの中から!?」
イ「しーっ、静かに
ロッカにばれたくないんだ」
ス「は、はい……」
イ「ふう、ここならばれなさそう」
ス「あの、その、ごめんなさい」
イ「ん?」
ス「何か、私が悪いことしたから、だから怒ってるんですよね?」
イ「え、ああ、いやいや違うから
そんな不良みたいな面倒くさいことしないよ、私」
イ「今から街に買い物に行くんでしょ?
ちょっとお願いしたいものがあってさ」
ス「は、はい。なんですか?」
イ「ダディルっていう店のルーゲルっていうオルゴール
ついでに買ってきてくれないかな」
イ「お代はこれで。多分お釣りがくるくらいの値段で売れるからさ」
ス「うわあ、綺麗な十字架! 宝石みたいですね!
こんな大事そうなもの、売っちゃっていいんですか?」
イ「大丈夫だよ、それ私が作ったやつだから」
ス「えええ!? そんな、本当ですか!?」
イ「うーん、そこまで驚かれると照れるかも」
イ「ハンドメイドってやつ?
薬莢とかを利用して彫刻を作って、それを売ってるんだ」
ス「す、すごいですよこれ!
天才ですよ、イーリさん!」
イ「ありがと、お礼に今度スプリのために何か作るからさ
頼まれてくれない?」
ス「わかりました、行ってきます!」
ス「……って、そういえば
なんでロッカにばれちゃいけないんですか?」
イ「うー……勝手に無駄なもの買うなって怒られるからね
おかげで買い出しに行くのさえ禁止にされちゃったし」
イ「あーあ、私も外の景色見たいなあ
こんな地下室に閉じ込められてちゃ、脳にカビが生えそうだよ」
ス(あぁ……なるほど、だからお留守番係なのか
街に出るとしばらく帰ってこなそうだもんね、イーリさん)
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