定期イベント・Aルート

最初の日ーーA

−−シューケル通り・酒屋ヴィアベル

シ「これがスプリだ、よろしくな」

ロ「なんで居候が増えてるわけ?」

ス「……」

イ「zzz」


シ「いやあ、私に言うなよ

  拾って飼いたいって言ったのはヘリィなんだし」

ロ「猫みたいな感覚で連れてこられても困るわ!」

シ「まあまあ、そう興奮しなくても」

ロ「あんたらが家畜並みの働きすらしないから

  声荒げてんでしょうが」

シ「あっはっは

  返す言葉もねえや」

イ「zzz」

ロ「んでお前は起きろや!」

イ「んう……昨日は徹夜だったからさ……」

ロ「あんたはなんで知らない人が家にいるのに

  平然としてるのよ!」

イ「ん、危険を感じないから、かな?」

ロ「確かに、おどおどしてて気が良さそうな

  狩る側より狩られる側、って顔してるけど」

ロ「今度の新入りは何者なのよ?

  前科者? 復讐者?」

ス「あの……」

ロ「なに?」

ス「泊めてもらったのはありがたいと思ってます

  だけど私、まだ状況が理解しきれてなくて……」

ロ「シュレ、どういうこと?」

ロ「私達の仲間になる、だからこの場所にいる

  そういうことじゃないの?」

シ「ああ、そういうことだよ?」

ロ「じゃあなんで本人はこんなに戸惑ってるのよ」

シ「そもそもお前らが誰なのかも説明してないからね」

シ「私達もスプリも疲れ切ってたし

  話し合いなら全員集まってる時の方がいいってことで」


 (音)

ヘ「遅くなってすまない

  ……あと、面倒を押し付けて本当にすまない」

ヘ「本当は私が連れて帰りたかったんだけど

  生憎、最近監視が強化されてるようでさ」

ロ「いいわよ、もう覚悟してるから

  この穀潰しに骨までしゃぶり尽くされる覚悟はね」

ス「あ、ヘリィさん」

ヘ「とりあえず元気そうでなりよりだ

  さて、どこまで話した?」

ロ「まったく、ぜーんぜん、何もわかんないまま!

  シュレが素直に話すとでも思った?」

ロ「とりあえずこの子が何者なのか教えて欲しいんだけど」

ヘ「あー、せっかくだし本人に自己紹介してもらおうか

  昨日は気が動転して、思い出せないこともあったかもしれないし」

ス「え、ええ」

ヘ「ほら、スプリ

  大丈夫だから、思い出せることだけでいい」

ス「は、はい……」


 (音)

ス「そして、目が覚めたら

  建物の窓から突き落とされてたんです」

ロ「……」

シ「というわけだけど、野放しにはできないよねえ」

ロ「そうね……これで突き放すのは余りにも酷だわ」

シ「昨日ある程度この国の状況は話しておいたし

  スプリも私たちに協力してくれるって言ってる」

シ「戦力になるまで成長すれば、だけどね」

ロ「本当? 正気じゃないわ

  あんたが無理矢理言わせたんじゃないの?」

ス「ほ、本当です!」

ス「私に何ができるのかはわからないけど

  できることがあるなら、やらなきゃいけないって思って……」

ロ「……うん、わかったわ

  信用してやろうじゃないの」

ス「本当ですか、ありがとうございます!」

ロ「はなから私たちに選ぶ余裕なんてないのよね

  背中を守るなんて考え、とっくに捨て去ってるし」

ロ「その代わり、こっちが手を差し伸べることもないと思いなさい

  あくまでも利害が一致しただけ、なんだからね」

ス「……わかりました」


ヘ「んで、イーリはどう思ってんの?」

イ「ん? いいんじゃない、面白そうだし」

ヘ「はぁ……そう言うと思ってた」

イ「いや、本当に面白そうだなって

  久しぶりに外の話も聞けるし」

ヘ「お前ってやつは……それ以外の価値基準はないのか?」

イ「地下に籠って暮らしてるとどうにも刺激が足りなくて

  なんて言うか、気が狂いそうになる」

イ「トランプもシュレじゃ

  相手にならなくなってきたところだし」

ヘ「そうじゃなくて、背中を預ける

  身の安全とか考えないのか?」

イ「テロリストの分際じゃあね、考えるだけ無駄でしょ」

ヘ「まあ、そうだけど!

  そうなんだけど、はぁ……」


シ「と言うわけで、ひとまず合格かな?

  おめでとう、そしてよろしく、スプリ」

ス「はい!」

ス「それで、私はなにをすればいいんですか?」

シ「まずは特訓だねえ

  基礎体力だったり、実戦だったり」

シ「どんな仕事を任されるにしても

  最低限の実力ってやつは必要になるからさ」

ス「戦う……私なんかが、この街で

  やっぱり、なんだか力不足な気が……」

シ「明確な日付は言えないけど、決行日はそう遠くない

  私たちも支援はするけど、最終的な運命を決めるのは自分だよ」

シ「生きて故郷に帰れるよう、死ぬ気で頑張れ

  なーんて、ありきたりだけどね」

ス「は、はい!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る