opening 4

モ:−−ルクヴィルド共国南東・レーゲブン

ス「うわあああああああ!」

ブ「うわあああああああ!」

モ:バタバタバタバタ

母「ちょっと、スプリ!

  うるさいんだけど!」

ス「ごめーん!

  外で遊んでたら、急に雨が降って来て!」

母「ほら二人とも、その汚れた服は着替えな」

ブ「ええ〜、またスプラ姉ちゃんのお下がりかよ〜」

ス「なにその言い方、むしろ光栄に思ってよ」

母「村でも評判だからね、ブラトの女装

  ブラトのお母さんも喜んでたし」

ブ「や・だ・よ!

  余計に嫌だよ」

母「ほらほら、抵抗してないで早く脱ぎな〜」

ブ「イ〜ヤ〜だ〜!」

母「ほれほれ〜、ほれ

  あ、あんたもさっさと着替えちゃいなさい」

ス「ごめん、私もう一回出るね

  ちょっと畑の様子見に行ってくるよう頼まれちゃって」

母「ちょっと、傘とコート

  それと、もう暗くなるだろうからランタン二つ持って行きな?」

ス「はーい、じゃあ行って来まーす」

 (音)

母「すぐ帰ってきてよー?」


ス「うう、雨が強くなって来たかも

  今のところ被害はなさそうだけど……大丈夫かなあ」

ス「とりあえず、出しっぱなしになった道具を片付けておかないと」


ス「……うわあ、用水路が溢れそう

  一応、みんなに知らせておかなきゃ」

ス「……あれ、なんだろ?」


ス「金属の筒……これは、何かの容器?」

ス「う〜ん、何かの本では似たようなものを見た気がするけど……

  少なくとも村のものではないだろうし」

ス「となるとリクタリアのものなのかな?

  配給車が落として行ったものが流されてここまで来たとか」

 (音)

ス「!」



ス「って感じで、後ろから口を塞がれて

  いつの間にか気を失ってたんです」

シ「……」

ヘ「それは、なんというか災難だったな

  偶然にあれを見つけてしまうなんて」

シ「そうだね、発症しなかったのが不幸中の幸いかな

  でも、そういう事情なら、故郷には帰れないと思った方がいいよ」

ス「え……」

シ「ランタンを持って行ったってことは

  闇の呪いについては知ってるんだよね?」

ス「夜になっても外で遊んでると、恨みや怒りに取り憑かれる

  そういう言い伝えですよね?」

シ「そうそう、それそれ

  邪気を払うためには太陽の力が必要だってやつ」

ス「そうですね、うちの村にもウリエルっていう特殊な電球を配りに

  ときどき配給車がやって来ます」

シ「君が見つけたのが、その呪いの正体さ」

ス「へ?」

シ「あれは呪いなんかじゃないし

  もっというと配給車なんてのはただのフェイクだ」

シ「君が拉致されたのも殺されそうになったのも

  全部が全部、リクタリアの陰謀なんだよ」


ス「……」

ヘ「信じられないって顔、してるな」

シ「してるね、正気の沙汰じゃないもの

  私たちも、あちら様も」

ス「……すみません

  頭が混乱しすぎて、よくわからなくて」

シ「いいさ、すぐわかるだなんて思っちゃいない

  いつかはわかってもらわなきゃだけどね」

ス「それじゃあ貴方たちは、何者なんですか?」

シ「控えめに言っても、テロリストだねえ

  一般的には狂信者、カルトな大ホラ吹きだ」

シ「清らかな光も、汚れた闇も全て消し去って

  この街に、この国に、ありのままの夜を取り戻す」

シ「……本当の夜と共に動くもの、だよ」

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