4th sense 4
えっ?
これって、、、
画面いっぱいに映し出されてるのは、あたしの写真だった。
これ、見覚えがある。
確か、去年の夏の宿泊研修で、海に行ったときの写真だ。
自由時間のときになぎさで砂遊びをしてるとこを、カメラマンさんが撮ってくれたもので、あたしと萌香とミクがスクール水着姿で、顔を寄せあってピースしてる。
なんでこの写真を、航平くんが持ってるの?
航平くんはパソコンのツールを使って、あたしだけをトリミングすると、それをA4サイズくらいにプリントアウトした。
水に濡れたスクール水着って、意外となまめかしく、大きく引き伸ばすと、胸のふくらみとかウエストのくびれとかが強調されて、その部分がつややかに光ってて、自分で言うのもなんだけど、エロい。
想いに
え~~~~~!!!
せつない、、、
切なすぎるよ!
あたしだって、航平くんとキスしたいよ。
あたしも実は、このときの航平くんの写真、持ってるんだ。
販売用に張り出されてた写真のなかで、いちばんカッコよく写ってた、上半身はだかの航平くんの写真。
もちろん自分じゃ買えるわけないから、ミクに根回しして男子に買ってもらって、アルバムに入れてある。
航平くんもあたしと同じようなことして、この写真手に入れたんだろな。
胸が熱い。
涙が出てきそう。
今なら航平くんに、この想いが届きそう。
<航平くん!>
あたしは力いっぱい叫んでみた。
それに気づかず、航平くんは写真に見入ったまま。
<航平くんっ!!!!>
思いっきり大きな声で、あたしは航平くんの名前を呼んだ。
「…え?」
小さくつぶやき、航平くんは写真から目を離し、周囲を見渡した。
えっ??
驚いたのはこっちの方だ!
もしかして、あたしの声が航平くんに届いたの?!
そうだとしたら、、、
<航平くん航平くん!!
あたしはここ!
酒井あずさはここにいるわ!!
航平くんのすぐ隣にいるのよっ!!!>
あたしは必死に訴えた。
航平くんはまだ、訝しげに周囲を見回してる。
わたしのことを想ってくれてる今、ふたりの気持ちはシンクロしてるに違いない。
今、この瞬間なら、航平くんとコンタクトできるかもしれない。
航平くんはしばらく、キョロキョロと周りを気にしていた。
しかし、しばらくすると机の本棚からクリアファイルを取り出し、スク水姿のあたしのプリントをそれにしまい、気を取り直すように教科書を広げた。
、、、もう。
あたしの声は聞こえないのか、、、、、、、、
残念。
でも、今日はさらに希望が見えてきた。
とりあえずあたしは、その光に向かって、突き進むしかない。
もっと想いが昂じれば、航平くんはきっと、あたしに気づいてくれるに違いない!
それを信じて、あたしはいつでも航平くんの側にピッタリ、寄り添ってるしかないんだ!!
つづく
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