第9話:メインプレイ:ミドル5-2

昭人:「……そう、だったね。里村さんのシャドウと戦ったんだ。

 あのやりとりがあって、花菱くんといい感じになったんだっけ」

千枝(GM):「うん……陽介が、私のこと心配してくれてたって聞いて、それで、その……」 ごにょごにょ

「って! 今、記憶、戻って……!?」

昭人:「……うん。なんとなくだけど、思い出したよ」

ローザ:(……日常の場所、か。桜華さんが帰るべき場所に帰る。ただ、それだけのことなんだ。邪魔しちゃ、いけないよね)

 非日常にP:執着/◯N:隔意でロイス取りますー!

GM:おっけー!

昭人:なるほどな。

ローザ:「桜華さん。記憶、ちょっとずつ思い出してきてるね。怖かったりしない? 大丈夫?」

昭人:「……少しだけ、不安もある、かな。でもそれ以上に、心に広がるこの感情が好ましい……と思ってる」

ローザ:「……そっか。その気持ち、大切にね。大丈夫、“全部”思い出せば、きっと不安感もなくなるよ」




 そう、“全部”。ローザ・アズールに関わる記憶は、桜華さんには必要ない。




ローザ:「……だから、次の人に会いに行こう。きっと何かを思い出せるから」

昭人:「……ねえ、茨木さん」

ローザ:「ん、なにかな」

昭人:「どうして、茨木さんはそこまで良くしてくれるの? もしかして、俺はその理由も忘れちゃってるのかな」

ローザ:「――違うよ。ただ私が、桜華さんが記憶を失くしてることを知っていて、力になれる状況にいたってだけ。

 もちろん、桜華さんを助けたいって心から思ってる。だから、良くするのは当たり前だよ」 ぎこちない笑顔を浮かべながら。

昭人:「……そう」 さっきよりも、心が痛む。何故かは、まだわからない。

ローザ:「……」

(これで、いいんだ。桜華さんを日常に帰さなくちゃいけない。こんな非日常からは離れて。オーヴァードではあるけど、普通の――)


GM:ローザがお辛い……。

昭人:切ないねぇ。

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