第1話:メインプレイ:ミドル4-2


ローザ:「バケモノといえば、あのアルマ・レグナムは何だったんスか? 寿命が縮んだっス」

昭人:「アルマ? この姿のこと?」

昭人:というわけでイージーエフェクト《擬態の仮面》でタナトス状態になりたいんですが、いいでしょうか?

GM:なるほど、いいだろう。


GM:ここで“輪廻の獣(アルマ・レグナム)”について補足しておこう。

 アルマ・レグナムは、ウロボロスシンドロームの覚醒者の中でもごく少数の個体のみに確認されている特異なオーヴァードである。

 このレネゲイドを宿した者は絶大な力を得る代わりに、破壊衝動を発露させたジャームと化してしまう。

 宿主が死ぬと分身を生み出し、新たな宿主に憑依するという、不死身に近い特性を持つ。UGNにとっては非常に厄介な存在なのである。

 詳しくはサプリ「リンケージマインド P.93」に掲載されているので確認してみてほしい。


昭人:では昭人が言葉を止めると、影が彼自身を包み込み、あの戦いでの姿に戻る。

揚羽(GM):「うわ、ほんとだ……暴走はしてないみたいですけど。えー、どれどれ」

GM:揚羽はレネゲイドチェッカー的デバイスを昭人へと向ける。

揚羽(GM):「姿は輪廻の獣ですけど……違いますね、これ。

 姿だけです。本物じゃないみたいですよ、ありがたいことにね」

ローザ:「そうなんスか? 驚いて損したじゃないっスか!」

昭人:「まあ、危ない存在じゃないならよかったよ」

揚羽(GM):「オーヴァードが危険な存在じゃないはダウトですけど……しかし、エニグマに引き込まれて覚醒とか、ついてないですねぇ」

ローザ:「そう、そのエニグマっス。それについて情報がほしいっスよ!」

昭人:「あの世界ってどういうものなの?」

揚羽(GM):「端的に言うと、あれは鏡の中の異世界ってやつです。便宜上、ウチはエニグマ(謎という意味)って呼んでます。

 このブルーフロントでは、鏡の中に、左右が反転したもう一つのブルーフロントが存在してるんですよ。

 ブルーフロント内の鏡面に触れることで、エニグマ内部へと侵入することができるわけですね」

ローザ:「土地問題が一気に解決できるっスね!」

揚羽(GM):「んないいものじゃないですから……エニグマの大気にはレネゲイドが満ちていて、内部はジャームの巣窟になってます」

GM:システム的な説明をすると、大気がレネゲイドだらけなため、エニグマ内部では24時間ごとに衝動判定が発生します。

昭人:うわぁ……。

ローザ:ひどい(笑)

GM:ついでに、レネゲイド濃度が高いため、エニグマ内部ではワーディングが効力を発揮しません。これもお忘れなく。

昭人:リプレイ・メビウスと似た状況ってことだね。了解。

揚羽(GM):「ウチも一度、ブルーフロントの下見中にエニグマに入っちゃいまして。丸一日は内部を迷って、命からがら脱出しましたよ」

ローザ:「二人とも生きててよかったっス」

昭人:「……あのときは助けてくれてありがとう、ローザさん。

 お礼、言ってなかったと思って」

ローザ:キョトンとした後に「そんなのいいっスよ! なんか恥ずかしいじゃないっスか!」

 と、顔を隠しつつ手を振るね。

揚羽(GM):「ま、覚醒した昭人さんはワーディング効かないんで、もうエニグマに引き込まれる心配はないです、たぶん。

 他に質問あります?」

GM:というわけで、エニグマに関する質疑応答タイムだ。と言っても、揚羽が知っていることしか答えられないので、あまり多くは明かせないのだが。

昭人:「エニグマにはジャーム……オーヴァードの成れの果てが沢山いるってことだけど、このブルーフロントってそんなにオーヴァードが多いの?

 そんなに多いなら、秘匿する理由もないかなって思ったんだけど」

揚羽(GM):「どうも、それがよくわからないんですよ。あのジャームがどこから湧いてるのかは、現状不明としか言えません」


ローザ:ローザちゃん、揚羽と相性悪いかも。引っ張られてダウナーになっちゃう(笑)

GM:頑張ってテンションを維持してくれ(笑)

昭人:ロールプレイが引っ張られる……あるあるやね(笑)

GM:エリート()スパイはシリアスだってできないとな。


揚羽(GM):「ブルーフロントでの行方不明もゼロではないですが、とてもエニグマ内部のジャームに匹敵する数とは……」

昭人:「失踪者とジャームの数が合わないってことだね。ジャームの発生源も不明な、まさにエニグマは世界ってわけか」

揚羽(GM):「まー現状の情報じゃなんとも言えません。他には?」

昭人:「俺からはないかな。ただ、提案が一つあるよ。

 俺がもしまた危なくなった時は、助けてほしい。ブルーフロントから出ることは難しいからさ。

 その代わり、君たちが危ない時は、俺からUGNの活動を援助したい」

ローザ:「私たちはヒーローじゃないっスから、必ずって言えないところが辛いっスけど……できるだけは桜華さんも守るっス」

昭人:「ごめんね、ありがとう。できれば親元に帰るのが一番なんだろうけど、俺、両親は死んでるし、ここから去るのは難しいから助かるよ」

揚羽(GM):「そうでしたか……それは、何と言うか」

昭人:「いや、いいんだ。気にしないでほしい。亡くなったのだって、ずっと……昔、だし」

ローザ:「…………」

揚羽(GM):「ともかく、ブルーフロントに何かあるのは間違いないです。あんな異世界が理由もなく出来上がるとも思えないんで」

ローザ:「FHにも動きがあるみたいっスから、もしかしたら繋がるところもあるかもしれないっス」

昭人:「……大変だね、UGNって」

ローザ:「大変っスけど、これでいい部分もあるんスよ」

揚羽(GM):「夜も更けてきたし、とりあえず昭人さんは帰って下さい。くれぐれも今日、見聞きしたことは内密に」

昭人:「わかったよ。それじゃあ、おやすみなさい。今日はありがとね。

 それじゃあ、また」

ローザ:「それじゃ桜華さん、おやすみっス。ゆっくり休むっスよ? お姉さんとの約束っス」

昭人:「ん、わかったよ。約束……ね……」

 そう返して、こちらはシーンアウト。変に狼狽することもなく、普通に寮に向かいます。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る