名前を呼んで
好きな人がいる。
それが、女性だったりするときもあるし、男性だったりするときもある。
美しい人が苦手だ。
所作が、声が、行動が、そして容姿が。そんな人が苦手だ。自分より全てを上回る存在が苦手だ。
庶民的で、優しくて、いい意味で平凡な、そんな人が好きだ。そこに性別は関係しない。ただ愛があり、好意があり、時間があるだけで。
この気持ちを本人に伝えることはあまりない。男性のときは伝えていることもある。女性の場合は、周りからの視線で相手を傷つけるし、そもそも伝えた時点で困らせる。だから言わない。それに、自分は好きな人がころころ変わる。行きつけのバーに居るバーテンダーの女性が好きだったのに、電車で見たサラリーマン風の男性を好きになった。大学の先輩が好きだったのに、その先輩の彼氏を好きになった。話したことはない。何も接点はない。そんなことが多い。なんの繋がりもないのに、ただ体温を求めてしまう。
しかし自分は誰といることも、誰かを求める資格さえ持ち合わせてはいないのだと、理解している。
自分は多くの人には見えていないようだから。多くの人には、ただ立っているだけの存在に見えているようだから。自分はこれ以上出しゃばってはいけないから。
だって自分は、ただの脇役でしかないのだから…
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