違和感

一つ問題が解決すると新しい問題が出てくる。普通隣に彼氏が住んでたら遊びに来るよね。

嘘を隠そうとすれば、新しい嘘で塗り重ねなくちゃいけない。嘘を隠そうとすれば倍の嘘をつかなきゃいけない。更にその倍の嘘でその嘘を隠す…。

とてもじゃないけど交際を維持していけない。交際を維持するには3つの方法がある。

・嘘をつき続ける

・嘘を告白し許してもらう

・嘘を本当にする

付き合い始めてすぐに嘘を告白するより、嘘をつき続けるくらいなら嘘を本当にしちゃおう、という訳で504号室に住もうと思う訳ですよ。敷金礼金は相場の通りなら三ヶ月分だし、二重に家賃を払うのは正直痛い…痛いけど日向さん、否、彼女の命は金に変えられないだろ?


こういう場合、不動産屋に行くのが正しいんだろうけど直接大家に会いに行くのが良いんだろうな、正規の手続きでは入居出来ないし…だって俺、未来から来たから住民票すらないんだよ?そういや俺ここじゃ偽学生なのか。


大家は管理人室に住んでるから、直接管理人室に行って話をしようか?

まあなるようになるだろ、と管理人室のインターホンを押した。

すると40代前半くらいの男が応対した。

「504号室へ入居したいのですが」と言うと「504号室以外であれば良いよ」との事だった。「何で504号室はダメなんですか?」と聞くと「前住人が夜逃げしたんで荷物が残ってる。その荷物の処分費用もかかるが次に住人を入れる時、こちら持ちでハウスクリーニングしなきゃならない。いずれはハウスクリーニングするが、空き部屋があるうちはそちらから埋めていきたい。逆に504号室に入りたい理由がわからない。最上階ではあるけど、角部屋でもないし…角部屋が良いなら501号室も506号室も空いている。角部屋が若干高いのがイヤなら505号室だって空いている」

この時感じた違和感の正体を確かめるべきであったが、この時は引き落とし口座をどうやって設定するかを考えていた。

なぜ502号室を大家は勧めなかったか?なぜ4階までは一杯なのに5階は一部屋しか利用されていないのか?

結局は505号室を借りる事になった。日向さんには電気関係の不具合があって部屋を移ったって言えば良いや。



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