タイムスリップ

2011年2月…最初は冗談だと思った。

でも「新聞とってないんだ。今日の新聞悪いけど見せて」と日向さんに頼んで見せてもらった新聞の日付が2011年平成23年2月27日(日)


冗談を言ってる訳でもバカにされている訳でも騙されている訳でもなさそうだ。

ふと気付き日向さんの家のインターホンを鳴らさせてもらう。

「ピンポーン」鳴った。

今日来た時は鳴らなかったのに、今は鳴った。

どういう事だ?一つだけハッキリしている事がある。

今の日付は2017年平成29年2月27日(月)ではなく、6年前の今日だ。

「どうかしたんですか?」

日向さんが心配そうに俺の顔を覗き込む。おそらく酷い顔色をしているのだろう。

「今日は掃除して疲れたみたいだから、家に帰って休んだ方が良さそうだ、せっかく来てくれたのにごめんね。」と俺は頭を下げた。

日向さんも心配そうに休む事に同意し、その日はお開きになった。

504号室に帰ってきて思った。「もし日向さんが心配して504号室にお見舞いに来たらどうしよう?504号室に住んでない事がバレてしまう!一言見舞いに来ないように言っておかないと大変な事になる!」

503号室の前に行ってインターホンを押した時にわかった。

俺は2017年に帰って来たんだ。

マンションは廃墟に戻ったんだ。

503号室のインターホンは鳴らないんだ。







503号室には誰も住んでいないんだ。


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