校内ベンチャー編
校内ベンチャー編プロローグ
デタラメ高校二年D組、
しかしその夢を一人で実現してしまえるほどの才能もなく、実現できそうになくてもとにかくやってみるというバイタリティもなく、そしてそれらの欠けたものを補い合える仲間もまた、なかった。
もしも、それら足りないもののうち、どれか一つだけを貰えるとしたら、石北は何を願ったか。
才能? それを何者かから与えられて何かを成し遂げたとして、それは自分が成し遂げたといえるだろうか。
バイタリティ? しかし才能なしに、成功の可能性の低いまま突っ走るバイタリティがあったところで、失敗するだけではないだろうか。
石北は、仲間が欲しかった。
同じ夢を見ることができる仲間を。
自分が憧れ、成し遂げてみたいと思えるものに、同じように憧れて成し遂げようとしてくれる仲間を。
困難な道でも共に歩んでいける仲間を欲していた。
しかしそれは叶わない。
彼が変人故に。
彼が憧れるものに憧れる人など滅多にいないゆえに。
彼が夢を語っても、人々はみな一様にぽかんとして聴いているだけだ。
「面白そうじゃん石北。一緒にやろうぜ」
そんな言葉を聴けることはない。
「そんなことができるわけがない」
「そんなことをして何の意味があるの?」
聴けるのは、夢の実現可能性を否定する言葉か、夢の意義自体を否定する言葉だけだ。
彼は共に夢を追える仲間が欲しかったのだ。
他人と夢を共有し、困難を乗り越えようと頑張る、それを体験できるなら、結果的に夢を実現できずに失敗しても構わないとさえ思えるほどに。
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