第2話 砂塵

彼は歩いた。

砂塵の中、砂と倒壊された街並みを。

今が歩いて7日目の昼だとはなんとなくわかっていた。

水筒はまだ3つ手を付けられていない。

彼は歩いていた。

寝ることも休むことも忘れて、日の沈む方へ。

砂塵の先にしっかりとした土と枯れた木の山を越え

少し落ち着いた平野の先に川と緑と花と一軒家があった。

あの家と造りが似ていた。

綺麗な白の立方体を組み合わせの家

一階に3個。二階に1個。そんな家。

花に水をあげていた、ジーンズにワイシャツの人が気付いた。

「あなた、もしかして・・・」

透き通った彼の顔をみて、

「やっぱり、23号さん?かな?」

彼はわからない、、、そんな顔をしていた。

しかし、彼の髪も服も靴も砂の汚れ一つもないそれを見て

「うん、、、23号さんだね」

それでもわからない。そんな顔をしていた。

「まぁわかるはずもないわね」

「この文字わかる?」

彼は驚いた顔をして指をさしていた。

「そう、あなたの部屋にあったメモ紙は私。」

「私は試験体1号。未来の1号ってみんな言うわ」

彼は戸惑っているが、1号に手を引かれ、家に導かれる。

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スティルアライブ @honganji-sian

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