【ジャック】(井上 桜様)

【参戦まで】

https://kakuyomu.jp/works/1177354054883919143


 これはジャックが、メグ、隣国の発明家・カノヴァ、その国王・ダリオと旅を始めてしばらくの事である。


 4人は小道の前に突き立てられた看板を見つめていた。


“最強キャラクター決定…………”


 書かれた文字の最後の方は、妙に汚れていて読めない。


「何だこれは?」

ジャックが怪訝な表情で言った。いや、怪訝な表情を浮かべているのは、彼だけではない。

「最強キャラクターを決めるらしいわよ。ウィルとかクロードとかやってるんじゃない?」

メグも小馬鹿にした様子だ。

「いや、ウィルは体力持たんだろうし、クロードは形式ばった物は好かんから、ないだろう。他の奴も、面倒くさがるしな。」

ジャックは相変わらず気に入らないようだ。


「大将……!」

突然、カノヴァが深刻な顔つきになった。

「嫌だぞ。こんなものに参加している暇はない。」

ジャックはカノヴァの意図を読み取っていたが、彼女はめげない。

「何を言ってるんすか!男と男が汗水流して拳を違わせ、最後には……、互いを認め合い、生涯の戦友ともとなる!感動的なサドンデスの場っすよ!?」

「絶対この大会にサドンデスはない。そもそも暴力は反対なんだ。」

メグが腕を組んで、呆れたような顔つきになる。

「よく言うわ。真っ先に殴りにかかってるの、ジャックじゃないの。」

「どこのジャックだ?けしからん奴だな。」

どうしても参加したくないらしい。

「頼みますよ、大将!こういうの1度見てみたいんすよ!結構見てやすけど。」

カノヴァは両手を合わせて頼み込む。

「おぅ。お前が出るなら、俺も見たいな。」

ダリオはやや楽しそうに言った。

「なんです、陛下まで。状況を分かっておいでですか?」

ジャックは焦り始め、少々言い方がキツくなってきた。

「あ、それなら私も見たいわ。」

「は!?」

メグも賛同してしまい、ジャックは更に慌てた。


「安心しろ、ジャック。ぶっちゃけ言うと、お前が戦ってる間は、ここでは何も起きない。」

ダリオはジャックの肩に手を置いた。

「むしろ、大将の存在アピールの大チャンスっすよ!」

カノヴァも彼の手を握る。

「ていうか、ここまで来たら無理矢理にでも参加しないといけないのよ。しょうがないの。」

メグは肩をすくめた。

「えぇぇ……。」


 3人に圧されて、結局ジャックは参加する事となった。

「さぁ、行くわよ。時間もないの。」

ジャックは3人に引っ張られ、会場へと向かう。


「こんな展開でいいのか!?」


いいのだ。

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