メタボリック
トイレ。
箸を取り落とした僕を見て、また
一定時間
香澄はこちらの
まあ、それを見て怒る気が失せるばかりか少し嬉しい僕も僕なんだけれど。
「あとで処理しよう」
そう、僕が声をかけると、香澄は
「君、デリカシーってものがないのかい? 食事中だけど?」
「
「
「香澄も違うだろ?」
香澄はぱちりと箸を食器の上に渡した。
「まぁね、けど、今度行ってみよう」
僕と一緒に実験室に戻った香澄は「君も来いよ」と当たり前のように言い置いて、用意された簡易陰圧ブースに入っていった。ブースは
僕は薄手のゴム手袋をし、ビニール袋を持って、天蓋の下に入った。香澄はとうに上半身の衣服を脱いで
ほら、と脇の下をみせる彼女に、ちょっと待ってねと声をかけて僕は腋窩から体内に少し指を入れた。奥に
機械的な固定を外した後は、必要な部位の電気的な固定を完全に外す。
「今回はフィルタだけだけど、ついでに
僕のその言葉を彼女は十分に理解して、僕には見えない画面から操作を行った。B6から10までの
今度は電動ドライバの出番だ。細い専用
「このビット、高かったなぁ」
そうぼんやりと
もちろん、僕の
「ふふっ、君はお金のことばかりだ」
「まあ、先立つものだから」
来月の「
「じゃあ、お金が入ったら、
「
「そうか。実は、先月末かな、注文した奴が届いてるから、あとで
まさか、と思って僕は聞く。
「いくら?」
「いうほどの額じゃない」
「え、だからいくら?」
「…………君の給与くらい」
「月? いや、そんな訳ないよなぁ」
「使途はちゃんと考えてあるから任せておいて」
「まあ、今年度末は
ビニール袋越しに
「待て。何をする気だ」
少しの沈黙を香澄が声を上げて破る。フィルタをビニール袋に片付けて新しいのを取り付け終わった僕は、当然パウチに詰まった
「何って、
「待て。いいから。手を離せ」
「なんで?」
香澄は僕の肩を軽く押して距離を取る。顔表面に赤みが差している。苦労した所のひとつだ。
「あとは自分でやる」
ふたつの作業がどう違うのかよくわからず
「ごめん」
だった。
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