騎士だった父親に憧れ、騎士団に入るために故郷から王都へと出てきた少年ラルス。
しかし、国一番といわれていたゾディアック黒騎士団は堕落してしまっていた。
これはブラックな騎士社会で新米騎士ラルスと仲間たちが真の騎士道を歩む物語だ。
かつては誇り高い猛者たちが集っていたゾディアック黒騎士団も、いまや任務はおざなりで他人任せ、業者と癒着し利益を貪り、幹部の「常闇の騎士」は実力ではなく賄賂や権力で選ばれていた。
その事実を知り呆然とするラルスだが、騎士団のあるべき姿を取り戻そうと努力する少女騎士リンナと出会い、彼女の率いるたった五人のオフューカス分遣隊に加わり任務に励む光景が眩しい。
他の分隊の尻拭いや雑用に使われていると承知の上で、信じた道をバカ正直に突き進む。
大きな組織の中で理想と現実の狭間で葛藤しながらも、己にも誰にも恥じない騎士道を追い求める少年少女の姿がたまらなくカッコイイのだ!
現代社会にも通じる世間のほろ苦さと、理想の甘酸っぱさが同時に味わえる稀有な作品だ。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲優詩)