cap.7

【個人撮影流出 現役女子高生のハメ撮り】

iPhoneの綺麗な画面におどるけばけばしい文字をぼんやりと見つめる。

なんて低俗な見出しだろうか。

私はここ最近、こういったいかがわしいサイトの単語がだんだんとわかるようになってしまった。

教室で気を失った私は、保健室に担ぎ込まれ、目を覚ました後保健の先生から私の非常にプライベートな動画が流出してしまったことを告げられた。

先生は優しい言葉をかけて慰めてくれたが、全く頭に入ってこなかった。

こういった動画は完全には消せないということ、彼氏に撮られた覚えがあるなら訴えることも可能だということ、暫く学校に来なくていいことを告げられたことだけ覚えている。

それからのことは、あまり覚えていない。気がつけば自室のベッドの中にいて、今に至るまでずっとこの部屋に閉じこもっている。

今日、私のメールアドレスに知らない宛先からURLが送られてきた。

開いてみると、成人向けアダルト動画サイトのページに飛び、そこに載っていたのはご丁寧にも私の顔と局部にモザイクがかけられたあの動画だった。

私は死にたくなった。全世界に私の全てが知られてしまう日が来るなんて、思いもしなかった。

コメント欄には本当に卑猥な言葉ばかりが並び、毎日挨拶する近所のおじさんまでもがこの動画を視ているような錯覚を覚える。

私の体が全世界にばらまかれ、男たちの頭の中で強姦されていると思うと胃液がこみ上げてきた。口の中が酸っぱい。頭がくらくらする。

なんでだろう。何で、あの日彩月が撮影した動画が出回っているんだろう。

「灯との思い出を残していきたい」そう言っていたから撮らせてあげたのに。

なんで。愛してくれていたはずじゃなかったのかな。好きだったのに。愛していたのに。

彩月の顔が思い出せなくなるくらい、泣くことしか今の私にはできなかった。


佐沼だ。佐沼しかいない。

あいつが彩月を唆したんだ。きっと彩月のことを押し倒して、全身を撫で回した後泥のような愛撫をした後に散々酷いことをして同じように動画を撮影したんだ。それで彩月を脅して、彩月は泣く泣く言うことを聞いたんだ。そうだそうに違いない。じゃなきゃ彩月が動画をばら撒くわけない。

あいつだ。あいつ。あいつあいつあいつあいつあいつあいつ。

弱虫のくせに、泣き虫のくせに、陰キャラのくせにコミュ障のくせにブサイクのくせにゴミのくせに────イジメラレッコノクセニ。

教科書をビリビリに破られて泣いてたくせにバイキン扱いされて泣いてたくせに鉛筆を全部おられて泣いてたくせに男子に散々殴られて鼻血まみれにさせられたくせに。

あれ、なんで私そんなこと知っているんだろう。佐沼とは高校の時に初めて会ったのに。

突然頭痛がして、思わずシーツを強く握りしめる。女の子の泣き声と、女子の笑い声が木霊する。

夕暮れ、教室、散乱する文房具、汚された体育着。みんなに囲まれて泣いているのは────佐沼?

頭痛が徐々に収まっていく。もう何も聞こえない。所詮はストレスが見せた幻だ。

深呼吸をして落ち着く。

あいつが元凶だ。そうに違いない。

殺さなきゃ。私と彩月のために。

その時、着信を知らせるバイブレーションがなった。


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