青い空と赤い空と

Aurora

青色と赤色

 少年は空が好きだ。どこまでも続くと思わせ、雲や時間帯によって、表情は変わる。

 いつもカバンに入れているカメラには、空の写真ばかりが保存されている。

 SNS映えなんて一切考えていない。自分が撮りたいと思ったものを自由に撮っている。

 今日もいつも通り、放課後の散歩の時間。入学祝いに買ってもらったカメラ片手に歩く。それが趣味であり、リラックス法だ。

 紅に染まる夕日を撮りに、家の近くの河川敷を歩く。

 風景撮影に使うのに向かいないと言われたが、気に入り買ってもらったデジタルカメラ。

 ポップアップした電子ファインダーを覗き、シャッターボタンを押す。

 風景が切り取られ、保存されていく。この瞬間が楽しいのだ。

 気に入った空。地上の風景と空の組み合わせ。面白い雲の形。そんなものをどんどんと撮り溜めていく。

 被写体を探す時間。ファインダーを覗く時間。シャッターを切る一瞬。

 その全てが、少年の心に安らぎをもたらし、集中を促してくれる。

 嫌なことも、なにもかも忘れられて、ファインダーの先の景色に集中できる。

 気づけば、空は紅から薄紫、そして黒へと変わっていく。

 街頭が灯り、帰宅の車の流れも増えていく。

 この時間になってしまうと、空を撮っても黒に塗りつぶされてしまう。

 楽しみの時間は終わり。帰路につく。

 カメラの小さなディスプレイには、撮影した写真が数十枚保存されている。

 それを少し見ながら帰ってしまう。歩きスマホと同じで危険と判っていても、してしまう。

 自分の好きな景色、好きな空、好きな街。ずっと見ていられる。子供のように、それだけに集中してしまう。

 ふと、視界が暗くなる。真正面にいる。ぶつかりそうになってしまったのだろうか。

 少年がディスプレイから顔を上げると、それはものすごく身長の高い、のっぽであり、よく見かける姿。

 電柱。

 気づかず電柱にぶつかるコースを直進していたようで、少年は誰も見ていないのに気恥ずかしい思いになる。

 一歩下がって、一瞬辺りを見回した後、恥ずかしさに頰が熱くなるのを感じながら、少し早足でその場を去るように歩く。

 自宅の戻れば、この写真たちをパソコンの大画面で見ることができる。

 逸る気持ちを抑えながら、少し早足になりながら、少年は帰宅した。

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青い空と赤い空と Aurora @aurora01

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