第二十二話、街亭合戦

勝虎たちは初戦に勝ち士気は上がっていたのであった。しかし、さすがに相手も警戒してうかつに出てこなくなったのである。勝虎は持久戦になれば向こうがどんどん不利になるのは馬鹿でもわかることだ。それを自らやるということはそれなりの勝算もしくは水の補給路が確保したということにほかにならない。そうすれば食糧が少ない我々が不利な状況に置かれている。だが、ほとんどの者は目の前の勝ちで喜んでいた。ただ一人・・・鬼小島は違っていた。鬼小島は勝虎と親子のように過ごしそれなり理解し勝虎の顔色を見て鬼小島はまだ自分たちは危険な状況なんだと思ったのであった。それを見て理解したのか勝虎が鬼小島にこっそり話したのである。



「このままじゃ絶対に負けるから次の作戦に移るよ。」



鬼小島はその作戦は何だろうと思いながらも勝虎に付き従うことにしたのであった。そして初戦から一週間後になろうとした深夜に勝虎と鬼小島は二人で敵陣に侵入したのであった。鬼小島は二人で敵のところに来て大丈夫なのと聞いたところ勝虎はむしろ二人のほうが安全に目標達成しやすいから大丈夫と言って静かに侵入したのである。まず二人が最初に行った場所は敵の兵糧庫であった。勝虎は敵の警備兵をうまく眠らせ鬼小島に好きなだけ食えと言って鬼小島はそれを聞いてものすごい勢いで食べ始めたのであった。勝虎はさすがに警備兵が少なすぎるだろうと敵の指揮官が無能すぎて敵の兵士に少し同情するのであった。




だいぶ敵の食糧を減らしたところで次に向かったのは武器倉庫である。そこでは先ほどよりか警備兵が多くいたのであった。勝虎はこの多さを食料の警備に回すべきでしょうと心の中で突っ込みをしながら敵警備兵をうまく隠れながら一人一人倒していき大方倒し終わったところで武器の回収を始めたのである。鬼小島も手伝いそれなりに奪うことに成功したのであった。最後に敵の水の補給路を確認したかったが勝虎はそれらしきものを確認できず仕方なく味方本陣に帰還をするのであった。




しかし、この行動は大きく敵に動揺を与えたのであった。食料もだいぶなくなり武器も少々なくなっていたのである。それに気が付いた敵の指揮官もこのままでは危ないと感じ出陣して打開しようとした。それを待っていたかのように勝虎たちは大きな草原が広がる場所でたくさんの竹束を用意して待ち構えていたのであった。



竹束とは戦国時代に使われていた道具の名前でこれは敵の鉄砲や弓矢を防ぐために作られて攻城戦では多く使用されたと言われている。一見かなり便利そうだが燃えやすいという欠点があったが勝虎は竹一つ一つに水の魔力を吸わせて燃えにくいようにさせてから作らせたのである。そのために戦国時代にあった竹束よりもかなり使いやすくなっている。そのために余程の火の魔法ではない限り燃えることはない。



勝虎が見た限りではそれをできそうな人材は向こうにいないと確信し決戦をするためにわざと敵が焦るような行動してこの戦場まで誘導したのである。そうして敵も攻撃態勢に入り魔法攻撃をしてきたがここで勝虎が考えていた竹束が役に立ち兵士たちはほとんど無傷で回避できたのであった。そして敵の攻勢が弱まったところで勝虎が攻撃の合図を出すのであった。



「よいか、練習したことをうまく出せば負ける戦ではない。まずは弓隊に魔法隊、敵に向かって撃て。」



それを聞いた弓隊と魔法隊は一斉に敵に向かって弓矢と魔法を放ち始めたのであった。敵はあまりにも同時の弓矢と魔法でよけきれず者が大勢出て負傷兵が多く出るのであった。それを見た勝虎はよしと思いさらに



「このまま相手に反撃のすきを与えるな。二番目、鉄砲隊、一斉に放ってそしてそれが終わったら石投げ隊は敵の小隊長クラスに向かって投石だ。」



それを聞いて鉄砲隊は一斉に撃ち始めてそれが終わると石投げ隊が一斉に投げ始めて敵はあんまり反撃もできないまま混乱するのであった。勝虎はかなりいい戦果だなと思いつつも



「騎馬隊、敵の真ん中を突き抜けろ最後に槍隊は一斉に槍衾を仕掛けるぞ。よいか今までの成功をお前たちで無駄にするのではないぞ。」



それを聞いてさらに士気を高まり騎馬隊はものすごい勢いで敵陣を突き崩したそこに槍隊が一斉に槍衾をしながら敵を攻撃を開始したのであった。敵の反撃も少々あったが統率がとれているわけでもなく冷静に対処できている兵士が少々のみ反撃するのである。勝虎はやはり集団攻撃はかなり有効的だなと改めて思うのであった。そうもしているうちに敵は総崩れとなり山の方になる陣に退却をするのであった。勝虎はここで初めて真正面から戦って勝てたことで初めて勝利したと感じたのであった。そのために



「皆の者、よくぞ頑張ってくれた勝どきを上げろ。」



そう言って後に続くかのように周りの者たちがどんどん勝どきを上げて勝利したことを喜んだのであった。安田も流石ですなと褒めたのであったが勝虎はこれは訓練をして私のことを聞いてくれたみんなのおかげだと言うのである。安田はそうですなと笑顔で返し部隊一つ一つ褒めて陣に引き上げるのであった。



その後は敵は一切陣から出ようとしなかった。向こうも勝てないと分かったのであろうが勝虎はこのまま大規模の部隊を逃がすつもりはなくここで壊滅状態させるつもりである。それに勝虎たちはただ包囲をしていればいいだけの話である。敵の水の補給路も分かったが地下の水は残念ながらこの辺は非常に少なくすぐに枯渇してしまうことを知っているため勝虎は暇だなと思いながらも半月ぐらい包囲をするのであった。そうしたらついにのどの渇きに勝てなくなった敵兵士が何十人か降りてきて敵である月魔族に水をくださいと何回も頼み込んできたのであった。勝虎は食糧とならいいよと言って敵兵士が持っていた食糧と交換するのである。アーナスは勝虎がいる本陣でなぜ敵を助けるのですかと聞いたところ勝虎は




「俺は敵に助けた覚えはない。利がある交換をしただけだ。いいかアーナス。水ならうちの国では多くとれるが今現在では食料の方はまだまだ不安定だ。そこでだ彼らは水がほしいと言ってきた我々は食糧がほしいとてもいい取引ではないか。」



勝虎はアーナスにそう説明した。アーナスはたしかにうちらの食糧が増えて助かりますが敵も同じではないですかと言ってきたが勝虎は



「少し違うかな、水は毎日かなり消費する。人間は食べ物は一週間以上食べなくても何とか生きていけるが水は一週間以上飲まなかったら・・・死ぬ。それに向こうの食糧も無限ではないいずれはなくなるさ。水もない食料もないそして先ほどの戦いで武器も多くなくなり相手に何が残ると思う。」



これを聞いてアーナスは初めて勝虎が何をしようとしているかを理解したのであった。それはこれ以上戦わずに勝つことそして敵を壊滅状態にさせる方法を悟ったのである。それが理解し素直に勝虎の意見に従うことにしたのであった。アーナスと入れ替わるように鬼小島が今度は現れたのである。鬼小島はこれからどうするのお父さんと尋ねてきたので勝虎はこれ以上危ないことはしないで戦いを終わらせるのと言うのであった。鬼小島はそうなのよかった、これでみんなが死ぬこともないねと笑顔で返したのであった。勝虎はそれを見てそうだなと言って鬼小島は



「でもお父さんがみんなに嫌われることはしてほしくない・・・お父さん優しいし。だからお父さんがしたいことをすればいいと思う。」



そう言ってその場から立ち去るのであった。一人取り残された勝虎は少し考えながら一人考えたことをつぶやくのである。



「・・・・本当なら敵も指揮官を除いて全員助けたいところだが普通に考えて許してくれるわけないな。だが、せめて少年兵たちだけは助けてやりたいな。」




勝虎以外誰もない陣でそうつぶやいた。たとえ戦場でも若い命は失いさせたくない気持ちは変わりはなかったのであった。

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