第二十話、本日もちまして、ここに月光国建国を宣言する

勝虎はもちろんエルフの里の事件を知らないことはなかった。もちろん自分が頑張って仲間にしたエルフたちを皆殺し状態にしたアーナスに質問するのであった。



「アーナス、この度獣人たちを配下に加えたことに関しては褒めておこう。だが、エルフの里の出来事は何だ。どうしてそうしたのかを説明していただこう。」



アーナスは素直に説明したのであった。獣人たちのことそして裏でエルフたちがやってきたことをすべて勝虎に素直に話したのであった。アーナスは下手に嘘をつくより素直に言ったほうが良いと思い話したのである。それと安田の方もアーナスを庇うように



「自分がお願いしてエルフの里に攻撃をお願いしたのです。アーナス殿に罪はありません。処罰するのでしたらどうか某一人にしていただけませんか。殿、今回の失態を引き起こしたのはアーナス殿ではなく某でござる。」



安田は責任を自分一人で受け止めるつもりでいた。最悪腹を切る覚悟であった。それを見た勝虎は意外にも二人を不問にしたのである。これにはさすがの二人も驚きであったが勝虎がその理由を話し始めたのであった。



「お前たちがしたことは許せるものではない・・・がまたエルフたちがしたことも絶対に許せるものではない。だからここはエルフたちの裏を見抜けなかった私に責任がある。だからお前たちは今回の失態の責任はお前たちではなくそれを見抜けることができなかった私だ。よってアーナス、安田及び獣人たちは今回のことを全員不問とする。異論があるものは今すぐ異論を唱えてほしい。」




この裁きにアーナス、安田はもちろんのこと獣人たちも感謝したことは言うまでもない。そして勝虎は新しく配下になった獣人たちのために住居を急いで作り始めたのであった。もちろん獣人たちも作っているがまさか魔王自身が手伝うなんてさすがの獣人たちは予想外であった。気になって歌夜が勝虎に聞いてみたのである。



「何を言っている。大切な住、食、衣の三つのうちの住だぞ。これをなくてはならないものだからここは魔王とか関係なく作るに決まっている。だから獣人たちも頑張ってくれ私も頑張るから。」



獣人たちはそれを聞いてみんなやる気を出したのであった。そしてそうもしながら勝虎はうまく獣人たちを最大限に発揮できる軍の配置もしてさらに法律も作り始めたのであった。いままでは月魔族ばかりであったがここまで増えてくると掟では物足りなくなってきておりそこで法律を作ることにしたのである。



そして法律もなんとか三つだけだが作ることに成功したのであった。勝虎はこれでついに国を建国宣言をする時だなと思い明日でも建国宣言をしようと思ったその時、どこからか声が聞こえたのである。勝虎は急いで警戒態勢をしたのであった。それもそのはずである、ここは天守閣であり城主・・・もとより魔王がいる場所である。そこまで誰にも侵入してくるものは余程の手慣れだけである。そうして警戒していたら目の前に一人の狐妖怪が姿を現したのであった。



「初めましてと言うべきなのかしら・・・元勇者、勝虎よ。」



勝虎はこいつは自分の過去をしているなと思いさらに警戒心を高めたのである。それを見て狐の妖怪は面白そうに話し始めたのであった。



「そう言えばまだ自己紹介がまだでしたね。童は災狐と言う者じゃ。まあ、簡単に言えば秩序を守る守護狐みたいなものじゃ。それよりもよく一人の人間がここまでやれてこれたのう。童は驚いている・・・・日本でいた時はあんなにいじめや父親からの虐待を受けて心がボロボロであったお主がここまで成長しているとはさすがの童でも予想外なのじゃ。」



勝虎はさらに驚いたのであった。そう、この世界の過去だけではなく日本・・・元の世界からいた時からこの災狐は自分のことを知っていると今までにないほどの警戒心を出したのであった。それを見て災狐はまた話し始めたのである。



「実はお主にはこの世界で柱・・・・つまり人身御供になってもらいたくこの世界に呼んだのじゃがお主は月魔族となり秩序を乱す者となった。本当ならすぐにでも殺すべきであったがエルフたちがいる目の前ではあなたを殺すことはできなかった。彼らは本当によく秩序のために頑張ってくれている種族だからそれが認めたあなたならきっとうまくいけると思っていたけどこの前の件でもうそれはないなと思い・・・・今日、ここで殺しに来たのよ。」



勝虎は今までにないほどの殺気を感じたのであった。それは明らかに神々や魔王クラスの殺気であった。この狐は一体どれぐらい強いのであろうか。自分で勝てるのであろうかと考えいたら災狐の方から



「どうやら今、ここであなたと戦ったら死ぬのは私みたいね。ここは逃げるけど次は必ず殺しに行くわね。待っていてね・・・・裏切者さん。」




そうして災狐は霧となって消えたのであった。それと言え変わるように別の者の気を感じたのであった。誰だという前に相手から出てきたのであった。




「どうもこんにちは我こそ、最強して最悪の悪神・アーリマンである。覚えてくれると助ける。それと君に質問や話をしたくてここまで来た。」




勝虎はこれは恐ろしいほどの化け物が来たと感じたのであった。そもそもアーリマンは悪神の中でも最高クラスの実力を持っており一人ですべての世界を殺すことが着るのではないかと言われているほどの化け物である。そんな化け物がこんな世界に来ているのかが不明であったが勝虎が必死に考えている最中でもアーリマンはお構いなしに話し始めたのであった。



「君はどうして魔王をやっているのかな。それにエルフの里を滅亡させたのそしてなぜ月魔族では障害者扱いされている子供を引き取ったのかを知りたいのだけど教えてくれるかな。」



勝虎は自分の考えと信念をアーリマンに伝えたのであった。自分は月魔族のためにそしてどんな子でも平和で幸せな世界を作りたいために魔王して養子にした子は可哀そうで自分にはどうしても見捨てることはできなかった。あの子には笑顔で幸せになってほしいと心からそう思って養子にしたと伝えたところアーリマンは笑顔で



「そうかそうか、君は本当に私の考えとよく似ているね・・・・どうかな私の配下にならないかそうすれば私の協力も得てこの世界ぐらいあっという間に支配ができると思うけど位も保証する。悪くはないと思うけど・・・どうする。」



勝虎自身はたしかに悪くない条件であった。ここで最強と呼ばれている者を味方にしておけば簡単に世界征服なんてできるであろうが勝虎はアーリマンにはない信念を持っていたのであった。



「アーリマンさん、たしかに大変うれしい話ですが私にはどうしても譲れないところがあるのです。それは神々も正しく導けるものは導いてやりたいという信念があります。だから私はあなたの配下になれません。」



それを聞いたアーリマンは笑いながらそうかと言って少し残念そうな顔をしながら



「そうか、ならその信念を証明して見せろ。それが正しい正義だということを我がアーリマンに見せてみろ、魔王・勝虎・・・・・その日を楽しみにしているぞ。」


アーリマンはそう言って月夜の闇へと消えていったのである。勝虎は建国する前から二大勢力にほぼ宣戦布告された状態になりこれから大変なことになりそうだなと感じながら翌日を迎えるのであった。




翌日、多くの月魔族や獣人たちさらに軍の属している者たち全員城の広場に集まって勝虎は演説をするのであった。



「月魔族よ・・・・獣人たちよついに我らは国を立ち上げるまでの実力を持つことになった。だが、これがゴールではない・・・むしろようやくスタートラインに立つことができた。これからは人間や神々さらに一部の魔族とも戦うかもしれないが・・・我らは苦労して国を作り出した精鋭たちだ。負けることはない、ここから世界中に見せてやろうではないか。我らの実力を・・・我らの信念のを。」


その演説で会場ともいえる場所は熱い歓声が聞こえてきたのであった。



「それでは本日もちまして、この国を月光を名付ける。そしてすべてに月光国の存在を見せつける。だから、私に力を貸してくれ。」



そうして演説は最高の歓声の中で幕を閉じたのであった。その夜には天守閣で鬼小島を寝かせて一人、満月の月を見ながら月酒を堪能するのである。だが、満月や夜空を見て勝虎は明日はきっと霧が出るなと思いまるでこの後のことを案じているようで不安を抱えながら一人でゆっくりと月酒しながら満月を見上げるのであった。







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