第十九話、鬼小島

勝虎はいつも通りにアレナが自分のもとから去ってから仕事に熱心に取り組んでいたの出る。それは寂しさを誤魔化すためであった。だが、ずっと仕事をしていれば体がもたないと思い。たまには気分転換でもするかと思い寒く雪が降り始めた中、外に出かけたのであった。普通なら外には出るべきではないが今の勝虎はあんまり話をしたくなかったのでむしろ好都合だと捉えていたのである。



外に出てみると雪が積もり始めており寒かったがそれでも勝虎は散歩をすることにしたのである。外の雪景色を堪能しながらこれからのことを考えろうとしたのである。しばらくして近くの森まで来てゆっくりと散歩をしていたら近くの木の横に積もっている雪がわずかに動き勝虎は気になって調べてみた。そこにはなんと小さな子供が寒さで包まってかなり貧弱していた。勝虎はそれを見て急いでその子供のところに行き自分の服をその子に着させ急いで城に戻ったのである。



城に戻ったら勝虎は急いで自分の部屋の布団で寝かせて子供に対して回復魔法と部屋を温めるために火属性魔法を使い温めたのであった。しばらくして子供の調子がよさそうになって一息をついたのである。その後、勝虎は考えたのであった。なぜ、子供があんな所にいたのか親はどうしたのかといろいろ考えたが考えるよりも一応、子供に聞いてみたほうが良いかと思いとりあえずその場で休むことにしたのであった。



それから翌日、朝早く勝虎は目を覚めたのであった。それは子供の心配で早く起きてしまったのである。その勝虎が起きて音を立てたその音で子供も目を覚ましたのであった。勝虎は大丈夫だったと言った瞬間、子供は勝虎に飛び掛かりかみついてきたのであった。勝虎は一瞬、驚いたがこの子のことを考えて勝虎は親のように優しく包みながら大丈夫、君に危害を加える気はないから大丈夫安心して。それが理解したのか子供の噛む力と敵対心はどんどんなくなり落ち着てきたのであった。そして甘噛みへと変わっていった。



その後、子供から腹が空いた音が聞こえたので朝食の準備をしたのである。そうして朝食をした瞬間、子供は勢いよく食べ始めたのであった。勝虎は自分の分も分けて与えたのであった。それから子供にいろんなことを聞いてみたが子供は何も返事をすることはなかった。勝虎は困り果てた。この子の親はどこにいるのかなと思いつつ仕方がないので城下町に出てこの子の親を子供を引き連れて探すことにしたのであった。捜索は大変であったがある者からこの子の親はこの辺にいると聞いて勝虎は急いでその場に向かったのであった。



その場にたどり着くとそこにはそれなりに大きな家があったのである。勝虎はここだなと思い。家に訪問することにした。家の者はまさか魔王自ら来るとは思ってもいなく動揺したがすぐに丁寧に迎えたのであった。そして家の者が子供の存在に気が付き家の者たちは魔王に謝ったのである。勝虎は当たり前のことですよ、気にしないでくださいと笑顔で返したのであった。



それから家に上がり話を始めた。どうやら話を聞いてみるとこの子は生まれつき魔法は使えずさらに見た目がそこら辺の月魔族と違く誰も相手にしていないというのであった。この子の親はどうしてこんな子が生まれたのかしらと言っていて勝虎はできる限り怒りを見せないようにしてきたが徐々にその怒りは見え始めていた。そしてそれがついにあることがきっかけで爆発したのである。



「本当に使えない子ね、あなたなんて生まれてくるべき者じゃなかったのよ。この化け物。」



そう言いながら子供に手をあげた親を見てついに勝虎の怒りは爆発したのであった。


「ふざけるじゃね、お前こそ何をしている。親が子供に対して手を出して言い訳ないだろうがそれにこの子はまだ七歳ぐらいだぞ。まだ、親からいろんなことを教えて盛らないといけない歳なのにお前たちは子供に対して暴力ですか。その辺にしないとお前ら全員、首と胴体を切り離すぞ。」



その威圧は魔王となってからでも数少ないほどの殺気と威圧を出した。それを感じ家の者たちは動きを止めたのであった。勝虎はもうこの家族と話すことはないと思い子供を連れて外に出ようとしたのであった。子供はこれからどうしたらいいのと勝虎に不安を抱えながら聞いたのである。勝虎は笑顔でそうだな、俺の養子にならないか・・・まあ、簡単に言うと俺のことを親父と呼んでくれると嬉しいかなと言ったのである。子供は嬉しそうに首を縦に振ったのであった。勝虎は最後に家の者に対して



「お前はどうやらこの子がいらないみたいだから俺がこの子を貰うことにするよ。安心しろ俺が絶対にお前たちを見返すぐらいに立派に育ててやるからよ。それと最後に言いたいことはこの子は化け物なんかじゃない・・・・化け物と言うのは俺のことを言うだよ。」




それから二人は城に戻り部屋で話を始めたのであった。それは子供は昔から名前がなく化け物と呼ばれていたらしく勝虎は改めてこの子を連れてきてよかったと思いつつ名前を考えるのである。そうして考えた末に決まった名前は



「ついに決まった。お前はこれから鬼小島だ。化け物ではなくこれからは鬼小島と名乗るがいい。」



鬼小島、この名前の由来は戦国時代に上杉謙信のもとで活躍した武将の異名でありその武将は心優しく戦場では誰よりも鬼のように勇敢であり未だに戦国時代を知っているマニアの中ではそれなりに有名である。勝虎もこの子は人の痛みを知っているので誰よりも優しくそして大切な者を守る時には鬼のように勇敢に戦ってほしいという願いで込められた名前であった。





子供・・・鬼小島は嬉しそうにしながら勝虎に甘え始めたのであった。勝虎は親父のように優しくしながらこの子の将来を考えたのであった。この子は魔法は全然できなくてももう一つの方法がある。




それは接近戦つまり剣士になる道である。しかし、もともと月魔族は魔法が得意な種族で剣を使うことに関しては人間以下の場合が多かった。万が一月魔族で剣を使っている者は純粋な月魔族ではなく人から月魔族になった者だけである。それも人間の時から剣を使っていないと月魔族になってからだと成長はまず不可能だが、この子は普通の月魔族と違いがあるためもしかしたらと言う可能性に賭けたのであった。




それから勝虎は鬼小島の世話をしながら剣の修行をさせたのであった。鬼小島も勝虎の期待に答えたいので一生懸命に頑張ったのである。その修行をしている途中で勝虎はあることに気が付いたのである。この子は剣よりも刀のほうが合っているなと思い刀で修行をさせたのであった。そうしたら勝虎も驚く早さで成長をしていったのである。わずか二か月で人間の凄腕の剣士と互角に戦えるほどまで強くなったのである。



勝虎はこの子はどこもほかの月魔族に劣ってなんかいない。そう確信したのであった。一方、鬼小島も父親代わりになった勝虎が褒めてくれてとてもうれしそうであった。もちろん勝虎は戦いのほかにいろんなものを教えたのであった。文字や算数にそして何より道徳を一番力を注いだのである。



そうしながら二人はまるで本当の親子のように生活をしたのであった。鬼小島も勝虎のことを親だと思い何回も甘えてくるのであった。勝虎もうれしそうにしながら答えてあげるのである。



そんなある日に鬼小島は森で修行をしていたら木の上から声が聞こえたのである。それは中年男性ぐらいで鬼小島はどうして木の上にいるのかなと思いながらもその男性は



「小僧・・・と言うより鬼小島くん、新しい親父はどうかな。」



そう言ってきたので鬼小島は笑顔でとてもいいお父さんと返したのであった。それを見た男性はそうか、ならこれからもうまくいくように頑張れよと言ってそこから姿を消したのであった。




男性は誰もない所で一人ごとを言うのであった。



「まさか、この前のエルフの里の虐殺の責任で殺そうとした相手があんな小さい子供を養子にしているとは・・・・どうしよう、魔王を殺そうとしたけどあの子に免じて今は殺さないでおこうかな。それに殺そうと思えばいつでも殺せるしね・・・魔王ごときなんかね。この悪神、アーリマンにかかればね。」



その者はそう不気味に笑いそうな表情を隠しつつどこかに消えるのであった。



そして一か月後、勝虎はアーナスたちと合流するが勝虎は先ほどのエルフの里のことをアーナスに問いただすのであった。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る