第十八話、武士の魂
安田は不安を抱えながら久しぶりにエルフの里についたのであった。族長が安田を見て外まで迎えに行ったのである。族長はせっかく来たからゆっくりしておくがよいと言ったところ。安田はストレートに用件を言うのであった。その内容はここに獣人の奴隷はいるのかと族長に訊ねたのであった。それも当たっていないことを祈りながら。しかし、帰ってきた答えは安田の期待外れのものであった。
「ここにはそれなりの数はいるが・・・お主、どこでその話を知った。」
安田はいくつか魔を置いてから族長にあるお願いをするのであった。それは獣人たちを解放してほしいというものであったが族長はすぐに断るのであった。それと族長はなぜ安田がこのことがわかったかと考えていたら安田の後ろをよく見ると女性の獣人、歌夜の姿を見て改めて安田に言うのであった。
「そこの娘が気に入ったか、安田。それはお主にやるからこの問題はあんまり深く関わらないほうが良いぞ。でもないとお主は・・・・種族から誰も相手にされなくなるぞ。」
安田はその瞬間、ものすごい速さで族長を槍で振り払ったのである。族長はあまりの速さでよけきれずに吹き飛ばされたのであった。族長はすぐに安田に向かって何をすると言ったが
「某は確かにこの里にはかなりの恩はあるが・・・・それ以上に弱き者があまりにも虐げられていることは上杉、某の義が許さないでござる。もし、それがやっている相手がたとえ神だろうが化け物だろうとこの考えは死んでも・・・いや、生まれ変わっても曲げるつもりはないでござる。」
それを聞いた族長は顔色を変えて里の者たちに異常者、安田を討てと言うのであった。里の者たちは族長の言うとおりに安田に対して攻撃を開始しようとしたその前に歌夜があることを聞くのであった。
「妹は・・・・妹はどうしたのですか。」
その答えは族長が笑いながら答えたのであった。歌夜の妹はすでにこの世からなくなっていると言うのであった。それもこの里で殺した。そして妹は最後まで姉の心配をしていたと歌夜に対して言った。それを聞いた瞬間、歌夜はこれ以上もない血涙を流し始めたのであった。そして後悔しても後悔しきれないほどの顔になっていた。
安田は今、初めて同族にここまで憎しみを思ったのである。そして安田の怒りの一撃が族長に襲った。その時安田が
「この外道以下の者は某の前から消えろ。」
その一撃で族長の首と胴体が離れたのであった。周りの者は慌てたのであるがそれ以上に安田に対する罵倒がすごかった。しかし、それよりもエルフたちは歌夜に対して攻撃を開始したのであった。無数の弓矢が歌夜に向けて撃たれたがだが、その攻撃は歌夜に届くことはなかった。なぜならその攻撃はすべて安田が歌夜を庇いその身で受けていたからであったのである。そのために安田にはかなりの弓矢が刺さっていた。それを見て一番驚いたのは歌夜であった。歌夜からしてみれば種族が違う者を助けるのかがわからなかったのであるがその後それを応えるかのように安田が言うのであった。
「歌夜殿、大丈夫でござるか。某はこう見えて大丈夫でござるよ。それよりも歌夜殿のほうが心配でござるよ。ついででござるが歌夜殿を助けた理由は簡単でござるよ・・・・好きだからと言うより一目惚れしたからでござる。好きになった女性が不幸なるのは某にとって自分が今、無数の弓矢に刺さっているよりもつらいでござるよ。だから歌夜殿には笑っていただきたいのでござる。」
それは間違いなく信念を貫く男・・・武士の言葉であった。
「たとえ相手が神々だろうと化け物であろうが某はすべて打ち倒すのみでござる。だから歌夜殿、安心してほしいでござる。」
歌夜は今できる限りの笑顔を安田に見せたのであった。安田はそれを見て態勢を立て直して改めて刃を同じエルフに向けるのであった。だが、いくら強くても数の違いと安田は大きな傷を負って満足に動ける状況ではなかった。まずいと安田が思った瞬間、後ろから声が聞こえたのであった。それも聞き覚えがあるものであった。
「さて、エルフの族長さん。これはどうしたのでしょうか。我々の大切な部下がどうしてここまで傷を負っているのでしょうか。魔王代理で側近のアーナスが問います。あなたはたちは獣人たちを解放するつもりはあるのですか。」
エルフたちは丁寧にそんなことしたらこの里は繁栄はできなくなります。税金も今以上に払いますからどうか認めていただきたいとエルフたちは必死にアーナスに訴えるのである。そうしたらアーナスは今、ここにる獣人の数はどれぐらいいると聞いたのであった。エルフたちは今は過酷な労働ですべての獣人が亡くなって今はいないと言った。それを聞いたアーナスはエルフたちと一緒についてきた獣人たちに言うのであった。
「わかりました。それでは魔王代理で言います。あなたたちエルフたちは・・・・ここで死になさい。あなたたちのような種族はうちの軍に必要ありません。それと新たな加わった獣人たちよ、最初の命令を下す。この里を焼き払いなさい。そして誰も生きて里から逃がすな。全軍、突撃せよ。」
それはエルフたちにとって死亡宣告と同じぐらいであった。そして獣人たちは今までの恨みでエルフたちに容赦なく襲い始めたのであった。安田も一緒に加わって戦っていた。もちろん号令したアーナスも最前線でエルフたちを殺して行ったのである。そんな時に突如、アーナスに進撃を止めた者が出てきたのである。それはこの前にあったばかりの百合奈であった。
百合奈はあまりにも悲惨な光景を見て怒りが現れていた。アーナスはこの前にあった者とは同じに見えないぐらいに違いがあったのである。流石にアーナスは警戒した。そうしたら向こうから言い出したのである。
「アーナスさん・・・・こんなことをする人だと思いませんでした。私は確かに美少女は好きですがそれ以上に悪を憎んでいます。こんな悪党は私は一人残らずあの世に送ってやります。だから・・・・死ね。」
百合奈は神速な速さでアーナスに攻撃を始めたのである。百合奈の武器はレイピアでその武器の特徴を生かして速さでアーナスを翻弄したのである。一方、アーナスはどちらかと言えば大剣よりの武器で相性は悪かった。だが、アーナスも一応、月魔族であり魔法も使い何とか互角に戦っていた。
戦局はアーナス側が断然有利に動いていた。時間が経つにつれてエルフたちはどんどん数を減らしていったのである。安田もそれを見て一息ついたのである。そして残っていたエルフたちも火で焼き死んでいったのであった。百合奈はそれを見てさらに怒りを現したがもう守ってあげるエルフは全滅状態であり百合奈は自分は勇者、こんなところで死んではこの先の命・・・この魔王軍を誰が止めるというのだと自分に言い聞かせその場からアーナスとの戦いをやめ逃げ出したのである。アーナスは追うことはしなかった。別にこの先、彼女が脅威にならないとはかけらも思っていないどころか絶対に倒しておくべき相手であったが自分では彼女を倒せないことを悟った。そのために犠牲を増やさないためにも追撃をしなかった。
アーナスたちはとりあえず休養が必要だと考えその場で数日休養したのである。その間にも安田と歌夜の仲は完璧に好感度をお互いにカンストしていたのであった。それは他人から見ても熱々であったそのためにアーナスはどうしてこうなるのかなと顔を赤くしながら思うのであった。それと魔王に一体どんな風に説明をすればいいのか考えていたのである。いくら獣人を仲間をすることに成功したがそれ以上にエルフたちを完璧に根絶やししてしまったことはきっと魔王はお怒りになると思いできる限り正論を言って説明しようとしたのであった。
それからアーナスたちは魔王のもとに戻るのであった。アーナスは軽く三か月、留守していたので心配していたがどうやら何とか大丈夫そうでほっとした。そこにはあれから立ち直った魔王と知らない子供がいたのである。子供はアーナスたちを警戒して勝虎の後ろに隠れてこちらをじっと見ていたのである。そしてそれを見た勝虎はアーナスたちに向かって
「お帰り、いろいろあったことは何となくわかるから詳しい説明は後でいいかな。それよりも紹介したい子がいる。もうわかっているかもしれないが俺の後ろにいる子は鬼小島と言う・・・・俺の養子になった子供だ。仲良くしてほしい。」
アーナスたちは驚きを隠せずに大声をあげるのであった。勝虎はアーナスたちがいない間に養子を作ったことを驚いたのである。そして勝虎はこの鬼小島の出会いを話し始めたのであった。
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