第十五話、鬼ごっこ?、廃墟洋館逃走戦

勝虎は急いでアレナをつかんで投げ飛ばしたのであった。勝虎はその後、ほかの幽霊となってしまった仲間にできる限り見つからないように移動をしたのであった。しかし、それは無理な話であった。ここは敵の庭みたいなところで天の時、地の利そして人の和をすべて取られていた勝虎はすぐに理解し一人でこんな状況でどうやって勝てばいいのかなと嘆くように言ったのである。そんなことも考えているうちにまた新たな幽霊となった仲間と遭遇したのであった。今度はアーナスであった。勝虎はお前までも幽霊になったのかよと思いつつ戦闘は避けられないであろうと考え戦闘を始めたのであった。もちろん幽霊になったとはいえ仲間をできることなら傷つけたくないので勝虎はあるしめ技を繰り出すことにしたのであった。



「食らいやがれ、我が人生最初の必殺技・・・・膝カックン。」



もしほかの誰でもいいから正気に保っている者がいたならずっこけるか突っ込みを入れるところであったが生憎な状況で誰でもいなかったのために無視されたのである。しかし、ふざけた攻撃の割には敵は足場を崩したのである。もちろん立ち上がろうとした時にも勝虎の猛攻は続いたのであった。



「すぐに反撃できると思っていたお前の姿はお笑いだったぜ・・・空手チョップ。」



それを何回も繰り返してアーナスが立ち上がれなくなるまで続けたのであった。勝虎ははめ技は大切だよねと誰に思ったのか自分自身でもわからないままその場から立ち去るのである。



それから勝虎はいろんな場所に行きながら逃げていたがそんな時にある部屋からなぜか安全そうな気が感じその部屋に入ったのである。そこには見知らぬ少女と安田の姿があったのであった。勝虎は驚いたのであったがよく見ると安田はいつも通りの姿でいたのでひとまず勝虎は安心したのであった。そして勝虎は安田が置かれている状況を聞いたのであった。



そして安田は状況だけではなくこの洋館の話もしたのである。簡単に言えばこの洋館自体が大きな怨霊みたいなもので原型を保ちながら興味やたまたま訪れてきた者たちを食べながら今まで来たらしい。そして隣にいる少女は怨霊となった分身みたいなものでこちらは敵対もない守護霊であったが怨霊が強すぎてこの部屋しか安全な場所は作れずにいたのであった。安田はたまたまその部屋に入って助かったのである。それで安田は助けてもらったお礼にお話し相手になっていた時に勝虎がこの部屋に入ってきたのである。つまり安田は運がよくいままで苦労せずに美少女とお話をしていたのである。それが分かった勝虎は怒り気味になりそうになったがその前にこの状況を何とかしないといけないと思い話を進めるのであった。



そうして出た答えはここに朝まで籠城戦をするという単純なものであった。アーナスたちは朝になれば元通りになるらしいがもし生気が全員なくなれば霊界すなわちあの世に連れていかれるらしい。そんな危険を冒すぐらいならしばらくここでお休みしていたほうが良いと思い勝虎も話に参加するのであった。いろいろと面白い話をしながら少女が泣きそうな顔で昔の話を聞いてくれると言ってきたので勝虎たちは素直にいいよと言うのである。それを聞いた少女は昔の話をするのであった。



少女の生前のころと言うより物心がついた時から周りの者から嫌われていたのである。それは彼女は側室の子であり母親は少女が生まれた時に亡くなったのである。そのために少女は生まれた時から味方がいなく誰もが少女を嫌われながら生きてきたのであったがある時にここの洋館に閉じ込められるように暮らし始めたのであった。少女は一人で寂しく暮らしていたが目の前にはきれいな景色もありなんとか寂しさを誤魔化していた。そうして暮らして数年後、敵の国に攻め滅ぼされて王国はなくなり少女は王女と言うことで処刑されてしまったのである。少女は自分の運命を呪ったのである。別に贅沢暮らしたいとは一度も思ったことはなくただほかのみんなと一緒に暮らしたかっただけなのに運命はそれすらも許してくれなかったのである。その怒り、憎しみはただたまって気がついたら成仏できずにこの洋館にずっといるのであった。誰でもよかったのである、誰でもいいから仲良くしゃべりたかったのである。この守護霊はそれをしたくてただここでずっと待っていたのであった。何年・・・何十年・・・何百年も待ち続けてそして今日、初めてこの部屋に安田が来たのであった。




それを聞いた勝虎は静かに立ち上がり部屋の扉に手をかけたのであった。少女は急いで止めたか勝虎は



「そんな話を聞いていかない俺ではない。そんな悲しい過去があるのにこれ以上苦しみを与えたくない。それにあちらは怨霊でも君でもあるだよね。それだったら安田はその子の相手をしてあげてください。俺はあちらの怨霊ちゃんと遊んでくるから行ってくるな。」


そう言って勝虎は部屋から出て行ったのである。もちろん部屋から出たら怨霊の領域で安全な場所はないはずなのに勝虎は先ほどとは違く楽しそうにしながらどこにいるかわからない怨霊に対して



「怨霊ちゃん、ごめんね。ちょっと休憩したけどまた鬼ごっこを再開しようよ。おじちゃんが相手にしてあげるから。」



その言葉が伝わったのかいくつもの気配を感じるようになったのである。案の定、周りには怨霊に取りつかれた仲間がいたのであった。それを見た勝虎は楽しそうにしながら逃げ出したのであった。それはまるで子供に遊びを付き合ってあげているおじさんのようであった。そしていくらか怨霊の方も楽しそうであったのである。勝虎の方も先ほどまでは恐怖心があったくせに今では完璧に子供みたいに戻ったみたいに遊んでいたのである。もちろん鬼を担当している怨霊も勝虎を捕まえようとかんばっていたが勝虎はそれ以上の速さで逃げていたのであった。




それから逃げていたらお腹が減り食堂のところに向かい何か探していたら後ろから怨霊ではない誰かの気配を感じ後ろを振り向いたらアーナスがいたのであったが先ほど違いいつも通りの姿であった。それからアーナスから話を聞いたがどうやら少女の記憶を見たらしくアーナスは少女を助けたいらしくこんな時に頼りになる勝虎を探して食堂から物音が聞こえ行ってみたらいたと言うことであった。それからはアーナスは泣きながらどうにかできませんかと言ってきたので勝虎はとりあえず少女の遊びに付き合ってあげたらいいと思うと言ってアーナスも鬼ごっこに誘ったのであった。アーナスも無言で納得し参加するのであった。



ついでに勝虎はなぜ、アーナスは正気に戻れたのかと尋ねたところアーナスはまあ、前に憑りついた者から憑りついた者を追い出す方法を教えてもらったと言ったのであるがそれでもその憑りついた者が弱まっていないとできないことであったが先ほど勝虎のはめ技の前でだいぶ弱まり追い出すことができたのだと言った。勝虎はそんなことよりも憑りつかれた相手にその解除方法を教えてもうなんて・・・まあ、仲間は一人確保できたことだし深く考えずに今は全力で楽しむことにしようと考えたのである。



その後は二人になり一緒に鬼ごっこをしたのであった。それからだいぶ時間が過ぎてよいよい夜が明けそうになった時に勝虎がある提案をするのであった。



「怨霊ちゃん、これから広場に向かうけど一緒に行かない。二人だけでは寂しいだよ。もちろん、アーナスもいいよね。」



アーナスはもちろんと言いながら賛成したのであった。そうして庭の広場に出て怨霊が姿を現したのである。勝虎は今日はなかなか楽しかったよと言った。アーナスも君も楽しめたかなと言うのであった。怨霊は無言にこちらに向かってきたのであった。普通なら逃げるところであったがなぜか二人には甘えてくる子供のように見えたのであった。二人はまるでこの少女の親のように待っておりそして二人で怨霊の少女を迎えたのであった。




その時の少女の様子は泣いていたのであった。二人は今だけでも親代わりになってあげると思いながら抱きしめていたのである。少女はゆっくりと元の姿に戻っていき最後には元の可愛さを感じられる姿になったのである。しばらくして幽霊少女は二人から離れて朝日が昇る直前に



「私のために・・・ありがとう、お姉ちゃん、お兄ちゃん。もし、生まれ変われたらお姉ちゃんとお兄ちゃんの子供がいいな。」


そう言って朝日のまぶしさで二人は一瞬、目を閉ざし次に目を開けたらそこには誰もいなかったのである。二人は先ほどの少女が来世で幸せになれることを祈るのであった。それからは安田と合流しほかのみんなも起こし洋館から立ち去ろうとした時にずっと憑りつかれていた斎藤たちの方で問題が起きてしまったのであった。



そしてその問題がこの先運命を大きく左右されることはこの時の誰もが予想はできずにいたのであった。







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