第五話、堕天使(サンキュパス)、月姫

巨大なヒュドールセルパンはほかの個体よりもはるかな能力を持っていた。まず、勝虎が警戒したのは毒攻撃である。普通の個体でもかなり危険な毒を持っているがさらにここまででかくなったヒュドールセルパンはそれよりも強力な毒を持っていることはほぼ間違いないであろうと考えられる。勝虎自身は回避することは簡単だがここにはもう一人の朝信がいるため万が一朝信に何が起こった時にはこの先の甚大な損になると絶対に死なせるわけにはいかない。その上にまだ朝信は子供である。子供を死なせることは絶対にならないことだと信念を持っている勝虎にとって朝信を死なせることは負けに等しい状況の中、勝つ方法を考えながら戦っていたのであった。




それからしばらく戦っていたがこの巨大なヒュドールセルパンは守備力もけた違いで魔法をほとんど受け付けいなかったのである。その上に勝虎はここ最近の連戦で体力をほとんどなくしていたのであった。もう一人も子供のために体力はあんまりなく徐々に動きが鈍くなってきていたのであった。だが、向こうはまだ余裕の表情であった。そんな最中に朝信があることをふっと言ったのである。



「魔王様、あの蛇の体内も堅いかな?」



勝虎はそれだと思ったのであった。たしかに表面上は堅いが内部までは堅くはないそれにあの巨体である。口も大きくそこから魔法を撃つこともできるほどであった。通常なら顔面で当たってしまうがこの大きさまでのヒュドールセルパンなら内部まで魔法が届くのであった。流石、将来が楽しみだけにある。朝信の発想に感謝しながら勝虎は残り少ない体力を振り絞って行動を起こしたのであった。



それに気が付いた朝信も勝虎の後を追った。ヒュドールセルパンが二人を丸呑みしようと大きく口を開けた瞬間、勝虎がその瞬間に氷魔法で口の周りを氷漬けしたのである。なんとか成功した勝虎だが最後の魔力を使い果たし倒れこんだのであった。そして後を託された朝信は大きく開いた口に向かって火魔法を全力で放ったのである。また、朝信も力を使い果たし倒れてしまった。



だが、巨大なヒュドールセルパンを倒すには火力が足りてなかったのである。次第に口の氷も解けて傷を負いながらも二人を丸呑みしようとした瞬間に空が黒く曇り空から巨大な稲妻がヒュドールセルパンに落ちたのであった。勝虎はその後に確認するために巨大なヒュドールセルパンの方を見てみたらそこには黒焦げになった姿があったのである。そして間もなく崩れていく中、空に黒い羽根をしている少女がいた。その少女は二人に向かって言ったのであった。



「まあ、合格と言うところかしら。まあ、状況を考えたなら優秀な方ですね。」



いきなり二人を評価をした、天使と言うより堕天使言うべき者であった。大変美しい少女であったが勝虎あることを感じ取ったのである。それは巨大な負の感情を感じ取った。そう、魔王よりも深い闇を持っているように感じ取れて軽く恐怖を覚えたのであった。一方、朝信は純粋にその堕天使に見とれてしまっていた。それを見ていた勝虎は軽くため息をついた。まだその辺りはまだまだだなと思いつつ今は目の前の状況を確認することにした。その前に堕天使少女の方から



「とりあえず、近くに休める場所でお話をいたしましょ。」



勝虎はこちらのほうは動けるだけが精一杯なので下手に逆らないほうが良いと考え素直に従うことにしたのである。その後、なんとか休めるところについたのであった。しばらくして堕天使は果物を持ってきたのであった。だが、三つしかなくここには勝虎、朝信それに愛に堕天使の三人いるはずだがそうしたら一人が食べられないことになるが三つとも勝虎たちにあげたのであった。朝信は笑顔でいいのと言ったが堕天使はいいよと笑顔で返した。その時の顔はまさしく天使であった。



そして食べ終わって話を始めたのであった。簡単に話をまとめると彼女の名前は月姫という堕天使で神々に復讐するために各地を放浪している堕天使で今は自分にふさわしい主を探していたら風のうわさで六代目魔王が死んだと聞いた。そのために七代目魔王でも会いに行ってみるかと思い探していたところ面白そうな人たちに会ったので興味本位でついて行ったところにあの巨大なヒュドールセルパンと戦っていたので観戦していたがつまらなくなったからあの蛇を殺したと言った。勝虎はその話をしながら不気味で笑っている少女を警戒するのであった。




朝信と愛は疲れ切って倒れるように睡眠したのであった。その後、起きているのは勝虎と堕天使の月姫の二人となった。そのためついに彼女の本心を出したのであった。


「さあ、子供たちも寝たことですしお話ししましょう。さて、あなたが魔王であっていますか。」


勝虎は素直にそうだと答えたのである。別に嘘を言う必要もないと思い話したのであった。勝虎が


「ついでになるが俺はともかくこの子供たちに手を出したら全力でお前を・・・。」



それを言い切る前に武器の剣を勝虎の首元の前で止めながら彼女からかつてないほどの顔で言うのであった。


「それは死んでもない、子供たちを殺害するぐらいだったら自らの死を選ぶ。この身が堕天使なってからでもこれだけは守り続けている。」


勝虎はその瞳は間違いなく信念が宿っていた。そして勝虎はわかってしまったのである。彼女がなぜ、堕天使になった理由が。そして言うのであった。


「月姫さん、あなたが堕天使になった理由は自分が大切にしていた人もしくは家族が実験されたんですね。」



それを聞いた月姫は驚きを隠せなかったのである。彼女からしてみればなぜ月魔族が神側の事情をしているのかがわからなかったからである。そもそもそれを知っているのは神々や一部の天使に勇者しか知られていない神々の闇と言うべきものだ。それをどこで知ったのかわからない勝虎を警戒したがすぐに答えをだのであった。



「俺は今は月魔族の魔王だがその前は77代目の勇者だったやつだ。だから俺にはわかるお前が堕天使になったことも・・・・神々の闇があることもな。」


彼女は驚いていた。勇者が生き残っていることに驚いていた。基本勇者は二人は存在しない。新しい勇者が生まれるその時、それは前の勇者が亡くならければならないからである。そんなことを考えていたら勝虎から言い出したのである。


「俺が生きているのはおそらく月魔族になり人として・・・勇者としては死んだからだと思う。まあ、前例がないから何とも言えないがおそらくそうだろう。」


彼女はそうと言って口を閉ざすのであった、その顔は暗く沈んでいた。それを見た勝虎は改めて感じるのであった。

・・・・・・神々の闇を。







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