第四十九話 ブタっぽい俺の貴賓室

 鑑定が済んだ俺は、ミカン箱に入れられたまま、クロッカス率いる城の兵士たちの手によって、城の地下牢へと運ばれてきていた。


「パーティの準備が整うまでこちらの中でおまちください」


 それだけ言うとクロッカスが、ミカン箱の蓋を開ける。


 俺はあけられたミカン箱の中にギュウギュウに詰め込まれていた体を何とか引きずり出しながら、外に出る。


 俺がミカン箱の外に出て最初に目にしたのは、犯罪を犯した者を一時的に閉じ込めておく頑丈そうな鉄格子がはめられた入り口の開いている牢屋だった。


「お待ちくださいって、ここって牢屋じゃないのか?」


 俺が疑問の声を上げている間にも、クロッカスがパンパンと手を叩くと、この城のメイドさんたちの手によって、入り口の開いている牢屋の中に次々と、多種多様な果物が運び込まれていった。


「おおっフルーツ!」


 ミカン箱から出された俺は歓声を上げながら入り口の開いている鉄格子のはめられた部屋へと突入すると共に、山盛りに盛られたフルーツの山に飛び込んでいった。


 そうして俺が見たこともないフルーツの山を夢中になって食べ進めていると、俺がフルーツの山を食べ終わる前に、次々と俺のいる牢屋の中に肉や魚などの料理が運び込まれてくる。


「おおっ次々とうまそうな料理が運ばれてくるぜっこれだけ大量の食べ物が運び込まれてきてるってことは、牢屋かと思ってたここは、城に来た客をもてなす貴賓室だったんじゃねぇか!? さすが異世界変わった趣味をしてやがるっもうこうなってくるとパーティってのも楽しみだぜ!」


 感想を漏らした後、俺は嬉しさのあまりブヒヒヒヒーンッと歓喜のブタ声を貴賓室の中に響き渡らせた。


 こうして城の貴賓室(地下牢)に案内された俺は、無我夢中で貴賓室の中に運び込まれてくるうんまい食べ物たちを腹がくちるまで、三日三晩の間。たらふく食べまくった。


 そうして腹がくちて眠くなった俺は、襲ってきた眠けに身を任せて、ブタのようにブヒブヒと満足げな寝息を吐き出しながら深い眠りについたのだった。


 同時刻。ヒステリア森林の奥地にて、天敵であるヒドラがいなくなったことを知った巨大な黒い影が、のそりと立ち上がり、森の木々を食い荒らしながらエサを求めて動き始めた。

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