第十三話 ブタっぽい俺の二度目のオーク狩り② オークの苗床と獣ミミ
行かなければよかった。
見なければよかった。
俺は悲鳴の出所につくなりそう思ってしまった。
なぜなら、悲鳴の出所には、十才前後と思わしき犬系の獣耳をした女の子が、複数のオークに衣服を剥かれ、今まさにのし掛かられようとしている光景があったからだ。
しかも女の子を組み敷いているのは、先ほど洞窟を守っていたオークのように武装したオークで、体には洞窟を守っていたオークよりも上等な、どこかの王国の屈強な兵士が身に付けているような鉄の鎧を着込んでいたからだ。
そして、女の子を組み敷いているからか、近くの地面には、ハルバートと呼ばれる戦斧が、無造作に転がされていた。
それだけならまだいい。
それだけならば、女の子を地面に組み敷いているオークが、事に夢中になっている間にでも、無造作に地面に転がされている戦斧を奪い取り、奪い取った戦斧で女の子を襲うオークの頭をかち割ってやればよかったからだ。
問題は、女の子を組み敷いているオーク以外のオークも、鎧と槍や剣や斧や鉈によって完全武装している点だった。
即席モーニングスターがいくら俺の手元にあると言っても、あの鎧の上から通用するとは思えない。それにあの頭を覆っている兜は、駄目だ。あんなもんがあったら、いくら運良くモーニングスターをオークの頭にぶち当てることが出来たとしても、倒せないからだ。
俺が冷静に自分と相手の戦力差を分析していると、俺の目の届く距離で、女の子が悲鳴を上げた。
「いやぁっ! お母さんお父さん助けて、助けてよ……あたしっひぐっオークの子なんか腹みたくないよ……」
女の子のその一言で、俺の心は決まった。
そう、オークやモンスターに犯されるということは、ただ犯されるだけではないのだ。
特にオークやゴブリンなどに犯された場合。確実に孕まされて、一生をオークやゴブリンたちの子を産む苗床にされてしまう。
昔かじったことのある僅かなファンタジー知識でその事を思いだした俺は、女の子を助けることにした。
「うおおおおおおっ!!」
俺は雄叫びをあげながらモーニングスターを振り回して女の子を組み伏せて、覆い被さるオークに向かって突撃していった。
俺が行きなり突撃していったせいで、これから事に当たろうとしていたオークは虚を突かれたのか、大声を上げて迫り来る俺を凝視する。
「よしっそのままこっちに意識を向けてろよっこの豚野郎っ!」
俺はそう願いながら、振り回したモーニングスターを女の子にのし掛かっているオークの顔面へとぶち当てながら、全ての勢いと全体重をかけてモーニングスターをぶち当てたオークに、相撲で言うところのぶちかましをかましてやった。
俺の全ての勢いと全体重をかけたぶちかましを受けたオークは、ものの見事にのし掛かっていた女の子の上から吹き飛んで、巨木に体をぶち当てブヒっと豚のような悲鳴を上げた。
俺は未だに何が起こっているかわかっていないオークをその場に残して、素早く全裸の女の子を担ぎ上げ、ついでに落ちていたハルバードを拾い上げると、オークたちに背を向けて、少しでもオークたちから距離をとるために、森の出口に向かって一目散に走り出したのだった。
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