君の勇気に

 彼女は真っ赤な顔で、目尻に涙を浮かべていた。どれだけ緊張しているのかが見てとれるようだった。


 盛大に噛んだ彼女をとてもかわいいとおもった。なにこの子。天使?えなにかわいすぎか。

 締まりのない顔を抑え自制する。

 毎年、彼女が渡そうとしてくれているのは友人から聞いて知っていた。でも、俺からくれって言うのはかっこわるくてできなかった。


 やっと今年、ついに今年。


 彼女は勇気をもって、やってきた。


 その様子がとても可愛らしく、思わず抱きしめたくなったが、拳を握って我慢した。



 ぴゅーっと去ってしまった彼女の方を見て、ホワイトデーに告白してしまおうと決意したのは言うまでもない。

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