冬のお話。
寄り道。

前のエピソード――ただそれだけ。

　彼から連絡が入った。今日の帰りは私よりも早いらしい。文面にはゆっくり帰っておいでーというものと、お日さまの絵文字。やっぱりセンスがどこかズレているのではなかろうか、と少し笑みがこぼれる。

　でもやっぱりなるべく早く帰ろう。

　そうだ、少し寄り道をしようかな。

　彼の好きな中華まんを買って帰れば喜んでくれるはずだ。

　彼の笑顔を想像すれば、寒さは遠のいた。

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