手と手

 君の自慢は体温が高いことだと言う。たしかに僕と手を合わせると君の手は温かい。それは僕がもともと体温が低いからかもしれないけれど。

 最近、君はやたらと僕の手に触れるようになった。理由を聞いてもはぐらかされてしまった。手袋をはめているくせに、わざわざそれを外してまで僕の手に触ろうとする。じゃれてくる幼児のようだった。

 僕は手袋を持っていない(というより、必要性を感じないのだ)から、時折ポケットに手を突っ込んでいる。そんな時も君は遠慮なく手を突っ込んでくる。



 その感覚に、慣れてしまった。気がついたら君の温もりを求めていた。無意識に手が宙を彷徨う。

 そして、手を合わせた時の君の嬉しそうな顔を見たいと思った。

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