第4話夢で別れを告げる
私が、当時愛していた人を亡くしてしまって、悲嘆に沈んでいた頃の事。
それはそれは寂しい思いをしていたのでした。
今思えば、鬱だったのかもなあ、と思うような、そんな状態だったんです。
その頃、友人に誘われて、PBWに参加しました。
PBWというのは、多分聞き慣れない略語ですよね。
Play by Web、つまりwebサイトでロールプレイを行うゲームです。そこにキャラクターを登録すれば、イラストを注文したり、ショートストーリーに参加したりする事ができるし、SNS的に、コミュニティ参加する事もできるというもの。
私はキャラを通じてこれらのコミュに積極的に参加していましたが、恋愛系のコミュでひどく傷つくという事があったのです。
まあ、ゲーム内恋愛は、相手のリアルな顔が見られないという事もあるし、キャラクターとプレイヤーの言動に齟齬が生じる事もあるしで、トラブルになる事は、まま、ある。
演じているつもりでも本気になっちゃって……というのがだいたいトラブルの原因なのですけどね。
その時は、私が一方的に悪者にされて、誹謗中傷を受けていました。
勿論、多少は味方もいましたね。
そんなある早朝、やけに早く目が覚めました。
そして、半睡している状態で、ふっと重かった心が晴れたのです。
親しくしていたキャラのひとり(もちろん、別のプレイヤーが演じているキャラ)が、
「(その重い気持ちを)持って行ってあげる」
と言ったような気がしました。
ところが……。
その日以来、そのキャラに会えないのです。
そのキャラも、積極的にコミュに参加していた人だったので、
「あの人どうしたんだろうね?」
と皆が心配していました。
数日後だったでしょうか。
リアルでその人と親しかったという人から、悲しい報せがありました。
そのキャラを演じていたプレイヤーが、交通事故で亡くなったというのです。
それがまさに、私が夢見た当日のことだったそうです。
リアルでは顔も見た事がない人なのですが、まるで本当に夢に現れて、悩みを癒してくれたような、そんな不思議な心持ちでした。
涙が出て、止まらなかったですね。
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