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 予想よりずっと長い期間に驚く。それだけの期間、彼女はどうやって人間社会に紛れていたのだろう。

「――十五年前、私は火津木志保という女の子と、入れ替わったんです」

 火津木さんの言葉を聞いて、思わず拳を握り締める。

「……殺して、入れ替わったということですか?」

「違います! ……私が見つけた時には、亡くなっていました」

「じゃあどうして入れ替わろうと? それに何故十五年も入れ替わったまま生活し続けたんですか?」

 火津木さんの表情が曇る。流谷さんも心配そうな表情をしているが、この質問にはどうしても答えてもらわなければならない。

「……私は、元々どんなものにでもなることができたんです。海を泳ぎたければ魚になって泳いだし、空を飛びたければ鳥になって飛びました。それで、魚になって泳いでいる時に、たまたま女の子の死体が沈んでいるのを見つけたんです」

「――そして、その子と入れ替わったんですか?」

「はい。最初は飽きたら別のものになろうと思っていました。でも、続けていくうちに、別のものになれなくなっていったんです」

「それは、火津木志保という女性として生きることが楽しかったからですか?」

「――涙を流して、喜んでくれたんです。お父さんとお母さんが」

 火津木さんの声は、痛みをそのまま音に変えたかのようだった。

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