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(追いかけてきた――でもどうして、わざわざ声を?)
僕達のことを標的にしたのなら、青年に声をかけさせる必要などないはずだ。いや、それ以前にこの青年は隣にいる女がトカゲだと知っているのだろうか。知っていて協力しているのか、知らずに利用されているのか、あるいは操られている? どれであったとしても、はっきりしているのは梓を巻き込んではならない、ということ。
「あの、突然声をかけてしまってすいません。でも、どうしても話を聞いてもらいたくて」
男性の声には切実さが溢れていた。とはいえまだ信用することはできない。
「……僕一人でいいのなら、話を伺います」
僕の言葉に、青年とトカゲと思しき女が顔を見合わせる。だがそれも数秒のことで、
「わかりました。お願いします」
「ちょ、ちょっと待ってください! どういうこと、楓!?」
青年の言葉に、梓が反応した。梓は僕の手首を強く握った。決して離れないとでも言うかのように。
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