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「……真奈さんがやりたいことなら、一つ思い出したよ」
「え、なに?」
「僕を着せ替え人形にしたいって言ってた。気になるメンズの服を片っ端から着せたいって」
沈黙が訪れる。考えてみれば、今言った内容は若干普通ではないかもしれない。梓は何か誤解をしてしまっているのだろうか。
「梓。一応言っておくけど、真奈さんは普通の――それは流石に無理か、少し、いや、大分? ……やっぱり少しか、うん、少し変わってるだけで、いい子だから」
「…………楓がそう言うなら、信じるよ」
明らかに無理をした笑顔で梓が言う。正直に言うのではなく、多少誤魔化して伝えるべきだったと反省する。
「と、とにかく、楓の服を選びたいっていうのなら、まずは服屋さんに行って色々見て回るのがいいんじゃないかな?」
「なるほど、そうだね」
定番と言ってしまえばそれまでだが、とはいえ下手に奇抜なことをしてつまらない思いをさせるよりはいいだろう。だが、流石に一日服を見て回るだけでは厳しい。
「それ以外はどうしたらいいと思う?」
「……うーん、クリスマスなんだから、やっぱりイルミネーションは見たいんじゃないかな。楓の住んでるところの周りで言ったら、確か友荷雛駅の駅前広場のイルミネーションが結構有名じゃなかった?」
噂には聞いたことがある。駅前広場だけでなく、そこから伸びる大通りの街路樹までしっかり装飾された中々立派なイルミネーションだという。
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