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「できればそこでプレゼントをあげられたらいいよね……ちょっとしたアクセサリーとか」

(アクセサリーか……アクセサリーといえば)

「指輪?」

「駄目」

 何気なく呟いただけなのに、梓からの返答は一瞬だった。そんなに駄目なものなのか。

「あ、え、えっと、その、やっぱり指輪は、ね、結構好みが出るからあまり気軽に贈らない方がいいっていうか、やっぱりネックレスとかの方が使いやすいっていうか……」

 僕よりも確実にアクセサリーに詳しい梓がそう言うのだから、きっとそうなのだろう。できれば選ぶのを手伝ってもらいたいが、流石に迷惑だろうか。

「でも、なんとなくデートの流れはできてきたんじゃない? イブは街を歩きながら服を見たり、お茶を飲んだりして、夜になったらイルミネーションを見に行って、そこでプレゼントをあげて、よ、夜はその、ホ、ホテルに泊まって……」

「うん。クリスマス当日はどうすればいいかな」

「そう、だね。イブのデートとは印象を変えていった方がいいんじゃないかな。思いっきり遊ぶとか」

 思いっきり遊ぶ――そういえば、真奈さんは確か遊園地に行きたいと言っていたはずだ。

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