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「楓、デート、についてだけど、真奈ちゃんから何かリクエストとか、そういったのはあるの?」

 真奈さんのデートに関する具体的な希望といえば、クリスマスにデートをすることと、泊まりであることの二つだけだ。おそらくクリスマスイブに一日どこかで遊んで、夜になったらホテルに泊まり、クリスマスも一日遊んで夜に解散、という流れになるのだろう。

「クリスマスイブとクリスマスの二日間のデートってことと、イブは一緒に泊まりたいっていうこと以外にはないかな」

「……へ、へえぇええぇぇ、クリスマスにデートして、しかも一緒に泊まるんだぁ、ほ、本格的だねぇ」

「梓、笑顔が引きつってるけどやっぱ」

「大丈夫ですから」

 これ以上追求してはまずいという直感が働いたので、何も言わないことにする。梓はミルクティーを一口飲むと、顔を両手で軽く二回叩いた。

「よし! それじゃあ楓、真奈ちゃんの好きなものとか、行きたそうな場所ってわかる?」

「好きなもの……行きたそうな場所」

 まず真奈さんの部屋を思い浮かべるが、特に目を引くようなものはなかった。会話で主に出てくるのは漫画のことだったが、漫画に関係する場所でデートに使えそうなものといえば――不意に、全く関係のない、しかし確かに真奈さんがやりたがっていたことを思い出した。

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