(……せめて座り続けられる時間を指定しておくべきだった)

 自分の失敗を悔やんでいると、不意に真奈さんが僕の膝の上から降りた。真奈さんは降りた勢いのまま立ち上がると、僕の方に体を向け、顔を近づけてくる。

「ね、せんせー、今度の期末テストのご褒美、覚えてるよね?」

「……覚えてるよ」

「じゃー言ってみて」

「……どうして?」

「どうしても!」

「……期末テストで全教科九〇点以上取れたら、クリスマスにお泊りデート」

 僕がそう言った途端、真奈さんは笑い声なのか悲鳴なのかわからない声を上げて、勢いよく僕の膝の上に座った。そしてそのまま僕に体を預けてくる。

(これはどう考えても、家庭教師の仕事じゃないな)

 真奈さんにつきまとっていたトカゲを倒してから、真奈さんの僕に対する態度は劇的に変化した。

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