第8話 あなたも僕も

「花子くん花子くん。悩みを聞いてほしいです」

 「はい。いーですよ」

 「性欲が収まるところを知らないので、ケツ穴ほらしてください」

 「やめて」

 またまたおかしな相談者がやってきた。

 「お願いです。花子くん。もう穴があればなんでもいーんです。あなたが両手で穴をつくってくれればそれでもいーですし、ポンデリングを買ってくれるなら喜んでミルクポンデリングにしますから」

 「いらない」

 「じゃあどうすればいいんですか!僕の性欲はどこに向かえばいいんだ!」

 聞けば彼の獣のような性欲の発端にはあるジムが関係しているらしい。

 「ライザップにいってたんですよ」

 「ははあ。あれね」

 「自分、数ヶ月前まで今よりも20キロ太ってて」

 「え、そんなに!?」

 「はい。だからライザップに通ってたんです」

 「はー。それで性欲とどう関係が?」

 「僕ってデブのときイケボだったんですよ」

 「あー。デブだからね。喉がしっかりしてるから」

 「だから女とか電話で呼び出せばほんとイチコロで。ライザップのインストラクターも囁いただけで潮ふいたんですよね」

 「ゴッドボイスですね」

 「そしたら相手の女の人もやっぱりプロテインいっぱい飲んでるから性欲旺盛で」

 「あれにはいってるのはタンパク質だよ」

 「だから腹筋しながら騎乗位とか、腕の筋肉鍛えるのにえきべんとかジムでしてて」

 「公然わいせつという言葉はどこにいったんだ」

 「そしたらセックスダイエットが効いて徐々に痩せていったんですよ」

 「新しいダイエットですね」

 「でもそしたら逆に性欲が増していっちゃって。あー。やりたいよー」

 「今は我慢してください」

 「腰を振っていないと気がすまないんですよね」

 「視姦するレベルで手を引いてください」

 「僕レベルが視姦すると孕ませちゃうので危険ですよ」

 「視線に精子が含まれているとは驚き」

 「あー。それにしても前立腺を刺激したい。金玉にバイブ埋めこもうかな」

 「やめたほうがいいですよ」

 「じゃあどうすればいいんですか!?このままだと近畿は僕のものになります」

 「え?急に?」

 「はい。少なくとも1週間で近畿の女性を全員種付けすることができるので。そうなれば止まりませんよ。破竹の勢いで世界にまで手を広げて、最終的に全ての哺乳類が僕の子孫を生むことになります」

 「エッチで世界征服しちゃった」

 「あーもうだめだ!とりあえず近場の女とやってきますね!」

 そうして爆速で飛び出した相談者だったが、なぜか小一時間後すんなりした顔で戻ってきた。

 「あの。収まりました」

 「え?性欲が?」

 「はい。っていうか、僕が感じてたのは性欲じゃなかったんです」

 「えと、つまり?」

 「さっきやった女がマックのビッグマックセット買ってたので女体盛りしたあとに犯したんですけど、なんかビッグマック食い終わったら中折れしちゃって」

 「つまり、性欲ではなくあなたが感じていたのは食欲だったと」

 「はい。そうなんですよ。ダイエットしてたから、ご飯も全然食べてなくて。だからこれからは朝昼晩としっかり食べていこうと思います」

 「はあ。何も力添えできなくてごめんね」

 「3時のおやつ代わりにエッチします」

 「プリン感覚なのか」

 「それにしても懐かしいですね」

 急に相談者がそんな事を言ったものなので、花子は少し訝しんだ。

 「懐かしい、とは?」

 「あはは。実はダイエットする前はイケボを使ってね、僕もお悩み相談なんてしてたんですよ。ちょうど今のあなたみたいに 」

 「・・・・・・・・・前の方なんですね」

 「ええ。よもや自分が相談する立場になるとは思いもしませんでしたが・・・・・・」

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