第3話 解決法
相坂涼太はそれはそれは影の薄い生徒だった。
なぜかみんな自分の名前を覚えてくれない。
話しかけても数秒後には彼の存在をみんな忘れてしまうのだ。
「だから目立ちたくて」
「授業中に歌えば?」
「もう試しました。やっぱりすぐに忘れました」
「でもさ。なんでそんなことに?」
「僕の家って中国ではそれなりに有名な暗殺者の血を引いているんです」
「凄いね」
「その暗殺術の極意が呼吸法にあるんですけど。僕はそれを無意識に常時発動しているみたいなんです」
「ほう」
「なんでも過呼吸みたいに1秒間で高速に息をするんです。そしたら周りの光を屈折させるらしくて自分の姿が半透明にうつるんですって」
「え、すげー」
「でもちょっと透けてるぐらいで一応みんな僕のことは視認できるんです」
「じゃあどうしてみんな君のことを忘れるの?」
「それはですね。透明人間なんてありえないじゃないですか。だから人間の脳ってありえないものを見ると無理やり忘れようとするらしくて、それでみんな五秒後に僕のことを忘れてしまうんです」
「へー。でもそれってよくない?」
「よくないですよ。だって誰からも構ってもらえないんですよ?」
「それはつまり誰からも責められないってことじゃん」
「ええ、まあ」
「ああそうだ!いいこと思いついた!」
「何かいい案が思いついたんですね!」
「透明人間のAV見たことある?」
「え、まあはい」
「だからさ!ヤリ放題だよ!女の子!JKヤリ放題!」
「すごい興奮してますね」
「そりゃそうだよ!きっと犯したらその女も君のこと忘れないはずだよ!五感を使って相手に自分の存在を刻みつけるのさ」
「それじゃあ、捕まってしまうじゃないですか!」
「大丈夫。警察は君のこと見えないし。ほら。犯罪って被害者が喚いてるだけじゃあ被害妄想のレッテル貼られて終わるだけだから」
そうして本校舎に謎の透明人間のレイプ魔があらわれた。
数ヶ月後そのレイプ魔は花子にお礼を言いに来た。
「いやー。花子くんのおかげですよ。これで毎日スッキリできるし、覚えてくれる人も増えたし」
「うん。でも気をつけてね」
「え?警察は僕のこと捕まえませんよ?」
「それってつまり守ってくれないってことでしょ?」
その瞬間、何人もの女子によって個室から引きずり出されたレイプ魔は翌日、縄でしばられ電車の線路の上に放置されたという
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