第2話 お悩み相談室
「花子さん花子さん」
なんでも花子を呼び出すには儀式が必要なのだという。
旧校舎の二階にある女子トイレに入って、2番目の個室に入る。
だがその前に3番目の個室に誰も人が入っていないかチェックする。
そして2番目の個室に入れば、トイレの水を連続で3回流さなければならない。うんこの有無は特に関係ないが、あれば金運がわずかに上昇するとNAVERまとめに記されている。
当然、花子を呼び出すときは一人でないといけないし、花子を捕まえようとかそんなことを考えているものはそいつの妹か母親がレイプされるという逸話も存在する。
そして3回水を流した後は、携帯でRADWIMPSの曲を大音量で流す必要がある。そしてRADWIMPSの曲を流しながら、口では東方神起を歌わなければ花子は現れない。
なんでも、そこから生み出される不協和音によって花子が起きるというのだ。嘘くさいがなぜかみんな実行する。
そして20分から遅くても1時間もすれば花子は現れる。
コンコンっと自分のはいっている個室がノックされれば儀式成功。
当たり前だが、ここで花子の姿を確認しようと思えばアフリカ系の黒人に犯されてしまうらしい。
「来たよ」
と少年のようなボイスの花子くん。噂通りなぜか男である。
今回の相談者である真田学園の1年生相坂涼太は、花子の存在にハッとして、東方神起を歌うのをやめて、RADWIMPSの音楽も消す。
そしてジャズ系の静かな音楽を流した。これは儀式に必要なことではなく、ジャズを流せば花子は気分をよくするだろうというただの配慮である。
「花子さん花子さん。悩みを聞いてくださいませ」
「花子くん、か花子でいいぞ」
「呼び捨てでもいいんですか?」
「いいよ」
「なあ花子」
「それはフランクすぎ」
「花子くんに悩みを聞いてほしいんです」
涼太はそこで財布を広げる。
花子にはお金を差し出さなければならないらしい。お札ならば大変気分をよくするとNAVERまとめに書いてあった。
「あ、お金とかいらないよ!なんかみんなくれるけど申しわけないし!」
「え、お母さんの財布から抜いた1万円いらないんですか?」
「じゃあそれはお母さんに返して。お金もらったら喜ぶっていうのは適当な噂だから」
「あー。じゃあガムあげます」
「ミントはいや」
「ではこんな僕の悩みを聞いてくれるあなたに感謝の気持ちを送ります」
「あーきもちー。もっとほしいー」
「はい。じゃあ悩み言いますね」
「うん。どうぞ」
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