第2-2話 俺の装備と聖剣
三時間後、俺は借金のことも忘れかけ、ホクホク顏だった。
サファイアさんとコーロが貸してくれたお金で、俺は装備品を揃えることができたのだ。
気分はすっかり冒険者だった。
【南国ゴリラのフェイスマスク】【水晶骸骨の首飾り】【極彩色サーペント皮のシャツ】【シーパイソン革のコート】【鋲付き鉄鋼グローブ】【スメルゴブリンのズボン】【草履】
「ありがとうサファイアさん! サファイアさんの見立てで俺は冒険者になれた気がする!」
「ご、ごめんなさい……エリオットくんがそんなに純粋だったなんて知らなくて……」
あれ?
なんでサファイアさん、口元を押さえながらプルプルしてるんだ?
なんでみんな、鼻をつまんでるんだろう?
そういえば、なんか変なスメルがするけどさ。
俺はよくわからないまま、初めての装備品をすべて売り払うことになった。
解せない。
さらに二時間後――日がとっぷり暮れた頃、もう一度俺は装備品を見立ててもらった。
【天鵞絨のバンダナ】【翠飛竜翼のマント】【宝玉竜のブレストプレート】【騎士見習いの黒衣】【宝玉竜の腰当て】【隕鉄の足鎧】【幸運兎のポシェット】
そして、【聖剣エクスカリバー見習い】
「見習いってなんだ!?」
俺たちは買い物をしていたところを王付きの騎士に呼び止められ、王宮を訪れていた。
洗礼をしなければならないということだったが、実際は王宮の中で王様に「チチンプイプイ冒険がうまくいきますように」と魔法をかけられただけだった。
そこでこの剣を王から賜ったわけだが……。
「はっはっは。相変わらず威勢が良いな、【勇者】エリオットよ。その剣はお主が言った通りの見習い。わかりやすく言えば、【聖剣エクスカリバー】になる可能性を秘めた剣じゃ。お主がどう冒険していくかによって、聖剣にも……魔剣にもなりうる」
「魔剣……」
「そうじゃ。……じゃがワシは、お主ならきっと【聖剣エクスカリバー】を携えて帰ってくると信じておるぞ」
王が柔和な笑みを浮かべる。
ありがとうなんて言わないぞ。毎年毎年の【勇者】に同じことを言っているに違いない――
「そして晴れて魔王を倒して帰ってきた暁には、我が娘カナリアと結婚する栄誉を与えよう」
「ありがとうございます!!」
俺、信念折れるの早くないか。
後ろの仲間たちから呆れたオーラを感じる。気のせいであって欲しいものだ。
やれやれ、しかし、反省しよう。もう二度と言わないぞ。
一喜一憂したところで、昨日のように王の後ろからひょっこりと、皇女が顔を覗かせる。
「ゆーしゃさま……カナリアはゆーしゃさまのお早いお帰りをお待ちしております……」
「ありがとうございます!! 頑張ります!!」
仲間たちの視線が痛い。
違うよ、最後のはカナリアちゃんに言ったんだよ。
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