第2話 文化祭

「くそお・・・」

俺が腹を押えながら学校へ向かう。

「お前が琴美ちゃんを怒らせるからだよ~」

確かにそうだが、琴美は空手黒帯だぞ・・・くっそいてえ・・・

「お前んとこはいいよなぁ、優しくて可愛い姉がいてさ。」

「姉がいてもいいもんじゃないぞ?弟だからって家事やらされるわ。もう毎日忙しいよ。」

お互い苦労してんだな・・・

姉がいる兄は妹を欲しがり、妹がいる兄は姉を欲しがるんだなぁ・・・。

「俺の姉なんてこの前、高那山たかなやまにいってバンジージャンプするとき高所恐怖症だからちびったんだぜ?」

高所恐怖症か。高所恐怖症なんて死を怖がっている奴がなることだ。

安心して心を冷静に保てば、高いところなんて怖くないだろう。

「それは恥ずかしいな。」

「なんだよ、他人事みたいに」

まあ、他人事だもんな。

他愛もない雑談を交わしているといつの間にか学校についていた。

「おお、ここまで準備が進んでいたのか!」

「早いな、たった一晩で。」

よし!と手を合わせた理久りくは口を開く。

「んじゃあ完成させますか!文化祭!よっしゃ!いくぞ!」

テンション高いなあ・・・。



「俺らは草むしりかよお・・・!」

「愚痴を言うなさっきの威勢はどこへ消えた?」

「だってよ?地味じゃん?な?」

「まあな。」

俺は理久から目線をずらしそっぽを向いた。

理久は修平しゅうへいが何かに悩んでいることはわかっていた。

「おい、どうしたんだ?なんか修平らしくないぞ?」

「え?別にいつも通りじゃね?」

「なんか悩みがあるなら言えよ。俺じゃあ頼りないと思うけどさ」

「おかしなこと聞くけど、お前って夢の送り主の存在って信じるか?」

理久は首をかしげながら答えた。

「送り主って言われてもよぉ。夢の中でそいつに会ったのか?」

「ああ。マナって男の子でな。顔に布がかかってる。」

「そんな鮮明に言われてもなぁ・・・」

やっぱりか。俺だけがこの妙な夢を見ているらしいな。

「口より手を動かしなさい!」

すると文化祭実行委員長 橋爪はしづめが割り込んできた。

こいつはいつもはおとなしい性格なんだが、実行に移すと二重人格の裏の顔みたいに厳しくしてくるのだ。

「へいへーい」

と俺は相槌を打つのだった。




作業が終わり、等々文化祭が始まった。

「いらっしゃいませ!よければ3-Cにあるメイド喫茶へいらしてください!」

「どうぞどうぞ寄ってって!2-Aの焼きそば屋だよ!」

・・・チラシもらい過ぎたな。

捨てるか。

そして俺は何十枚も積み重なったチラシをゴミ箱に捨てた















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