リベンジの結果


 やあ。

 ようこそ、「無限の猿プロジェクト」の進捗報告会へ。

 長い間待たせてしまったからね、率直に結論から説明するよ。

 まあ、とりあえず、落ち着いて内容を聞いてほしい。


 うん、「また」なんだ。本当に申し訳ない。

 仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。

 でも、無礼を承知で弁解するならば、この小説には明確な筋道のようなものはない。ある目的に向かって、ガムシャラに方法を実施して、その結果を報告していくだけだ。

 だから正直な話、すべての対応手段が「無理」だと分かったら、この作品は容赦なく「無理でした」で結論付けて終わる。あくまでレポートだからね。

 上手くいくかどうかは、私にも分からん。

 とりあえず、一つだけ忠告しておくならば――この状況に早く慣れれば慣れるほど、君は楽になれる。


 じゃあ、詳細の報告をしようか。


 前回の条件――すなわち、1回当たり10万行で試してみた結果は、以下の通り。


 総合計時間:4153.47秒(1時間9分13秒470)

 1周期(530万回)あたりの平均:218.24秒

 最短時間:214.91秒

 最長時間:221.36秒


・4文字一致:17件(89.47%)

・5文字一致:2件(10.53%)

 3文字以下、及び6文字以上の一致についてはなし。

  

 5文字の一致文字列

 01.ヌ(33582834行目)

 02.(95742008行目)


 パターン二割減のお蔭なのか、5文字一致が二回登場してきている。

 余分なケースを除いたおかげで、確かにはなったのだろう。

 喜ばしいニュースと受け取るべきなのだろうが、本来の課題は実行時間である。

 1万行でやった時に比べ、ほとんど総合計時間に差がないのが分かる。比較すれば一目瞭然だ。

 1万行ケース:4135.45秒(1億13万行)

 10万行ケース:4153.47秒(1億70万行)

 1行あたりの取得時間など計算する必要もないだろう。

 おそらく、本当に微々たる――「あの一円玉はこの一円玉よりも、だけ重い」くらいの差でしかない。


 10倍の量をこなさせたら、10倍の時間がかかる。ある意味、最も自然な結論となったわけである。

 E〇CELの分身も駄目、行数の分身も駄目。

 私は再びふりだしに戻された。

 既に30日間の試用期間は終わり、これからは毎月の支払いも待っている。


 いよいよ、手段を選んでいる暇はなくなってきた。

   

 

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