無限の猿を作りだせ

万を超える下ごしらえ

　一億回の演算をするにあたって、二点の機能を追加しようと考えた。

　一点目は、各フ〇ーザ周期（530000回）で最も「シェイクスピア」に近い文言について、一致文字数、行数を加えて出力すること。

　実装方法として「10000行を53回ループすること」を更に189回ループする――入れ子の形式を取るため、530000回の演算が終わり、次のループへ移行する度に「惜しい文字列」を格納しているAI列の内容は上書きされてしまう。

　そうなる前に、その周期で最も「惜しい」文字列を別の列に転記する必要が出てくるのだ。一致文字数、行数についても同じことが言える。

　機能の実装については、AH列～AJ列の設定と同じ方式を用いた。一致文字数の最大数（AK列に用意。MAX関数を利用）について範囲検索を行い、見つかったセルの行番号を取得するというものだ。該当行にある文字列をAL列に、一致文字数はAM列、行数はAL列にそれぞれ配置した。

　行数については、何回目のループで見つかったものかが分かるように、（ループ回数-1)＊530000を加えることにした。つまり、3回目のループだった場合は、2回ループした後の回数である1060000（行）が追加されることになる。

　試しに実行してみると行数の表示部分で「オーバーフローしました」との文言が出てエラーになった。ググルの術を用いた結果、どうやらＶＢＡの整数型は「-32,768から32,767」までが範囲（ここらへんがJ〇vaの整数型とは違う）らしく、530000が収まるような状態ではないらしい。

　今回はLong型（長整数型）に置き換えることで、正常に動作させることが可能となった――ただし、限界はおおよそ21億5000万といったところであり、今後の検討に影響がないか少々不安である。

　二点目は、各フ〇ーザ周期での実行時間と総実行時間の取得を行うこと。

　前回実施した際には20.75秒であったが、再度実施した場合も同じ結果になるとは限らない。おそらく、数秒程度の前後は想定されるはずだ。

　正確な処理時間を取得するためには、何回か時間測定を行う必要があるだろう。

　また、この試みには、プログラムを改修することによる、処理時間の改善具合を確認出来るという利点がある。

　元々の目的には「プログラミングしたい（＋インテリっぽくなりたい）」という気持ちも少なからずあるのだ。

　そして何より――今回の検証を手でやろうとすると、189回もストップウォッチを押すことになるので、非常に面倒なことになる。

　実装方法については「Timer」関数を利用した。「タイマー」という読みの通り、呼び出された時点からタイマーを進める機能を持つので、プログラム開始直後に関数を起動、終了間際に参照することで、実質的なプログラムの実行時間を計測することが出来る。

　今回は各フ〇ーザ周期ごとの処理時間と、総合計時間の2つを取らなくてはならないので、起動直後にタイマーを2つ起動（便宜的にタイマーＡ、タイマーＢとする）。タイマーＡについては各フ〇ーザ起動ごとに初期化（経過時間を0にする）する処理を加え、処理終了に経過時間をAO列に記載する。

　すべてのループが完了し、処理が完全に終わった場合にタイマーＢを参照し、その結果をAP1セルに記述する。

　以上二点を実装した上で、試しに3フ〇ーザ分実行してみることにした。

　結果は以下の通り。

　1フ〇ーザ目（1～530000行目）

　出力文字：シレヅヌスピタ

　一致文字数：3

　行数：29199行目

　実行時間：24.31秒（小数点3桁以下四捨五入）

　2フ〇ーザ目（530001～1060000行目）

　出力文字：ヅェイクチパゲ

　一致文字数：3

　行数：594422行目

　実行時間：21.70秒

　3フ〇ーザ目（1060001～1590000行目）

　出力文字：ィェイリスピレ

　一致文字数：4

　行数：1120681行目

　実行時間：21.14秒

　総合計時間：67.53秒

（実際の合計時間は67.15秒であり、0.38秒ほど差異がある。おそらく時間を出力する際の処理時間か？）

　このマクロを基に、いよいよ一億回の演算を行うことにする。