16.学校の七不思議 - 2
私は第二新聞部のメンバーに部長として学校で起きているオカルト的な出来事を個別に取材するようにと指示を出した。
さて、このあとどうしようかしらね・・・オカルト研究部にでも行ってみようかしら・・・できれば行きたくはないのだけれど・・・情報はあそこしかないわよね・・・
オカルト研究部の部室の目の前で私は嘆息する。目の前には怪しげな袋・・・これはブードゥー教のグリグリね・・・確か呪いたい相手の枕に仕込むのだったかしら?
他にも釘とわら人形が飾られていてどう見ても近づきたいとは思えない。そんないかにもな部室・・・・・・
周囲をよく見て誰も居ないのを確認し、「吹雪朱里、これは仕事よ。全然怖くない」と自分につぶやいてみる。するといくらかマシになってくる。
そして思い出す。そうよ、あの廃村よりはマシよ。私はあのときも平静を装えたもの。ええ、今回もいけるわ。
私は意を決し手を握りしめるが、ドアさえも触りたくなかったので下に着ているセーター越しにノックをする。
中から出てきたのは予想通りロン毛の男。
スピリチュアルな人には男の人でもロン毛がはやっているのかしらね・・・確か占い同好会の部長もそうだったわね・・・そういえばあの人今年は進級できたのかしら?
「これは、小雪ちゃん。おかえりなさい」
私は小雪じゃない。でも突っ込むだけ無駄ね。早く帰りたいわ・・・・・・
「学校の七不思議について調査をしているの。知っている情報を教えてくれないかしら?」
「相変わらずなものの言い方ですねえ。まあ、そういうところも嫌いじゃないよ」
「なにか最近不思議な事は起こってないのかしら?」
「まあ、まあそう焦らないで。部室に入って入って」
「なにか最近不思議な事は起こっているのかしらねっ?」
私が部室への入室を、遠回しに拒否すると相手、遠坂銀介はいつものように変わらずどす黒い笑みを浮かべる。その、心の奥底を隠そうとしない彼の表情には恐ろしささえ感じる。そして真面目な声になる。
「そろそろ来る頃じゃないかと思っていたんだよね。だって、君たちでしょ?犯人」
そんなことを言われても私にはまるで心当たりがない。私は彼の目を真っ直ぐ見る。
「あれ?違うの?お祓いしているときに見たんだけどなー。幽霊。」
「ぁ・・・・・・勘違いも甚だしいわね」
「何か隠してるんじゃないの?」
「隠してないわ。私はそろそろ失礼するわ」
セナちゃんのせいなはずがない。いや、確かにセナちゃんがいたずらしていたのかもしれないのだけれどその前から怪談は語り継がれていた。だから私はこの学校に別に幽霊がいるのではないのかと思っていたのだが・・・精神が摩耗しただけでなにも情報はもらえなかった。
私はドアについていたグリグリを持ってオカルト研究部をあとにした。
さて、次はどこに行こうかしらね・・・憂さ晴らしできるところにしましょう。
第二新聞部の隣の部室へ向かう。ノックをするといつもの筋肉馬鹿が出てくくる。
「おう、今日はどうしたんだ?」
「今回は学校の怪談について調べているの」
「そんなことに第一新聞部は手を手を貸さんぞ」
「あなた達の手なんて邪魔だからいらないわ。インタビューをしに来たのよ」
「おう、何でも聞け」
「最近学校で聞いた怪談を教えてほしいわ」
「宅配を呼ぶ幽霊とかか?」
不覚にも筋肉馬鹿が大真面目に答えるものだからおかしくて笑ってしまった。
「それ自作自演じゃないの?」
「いや、そうじゃないと思う。金に困ってる奴がそんなことをわざわざするか?」
「確かにそうね。それだけ?」
「そうだな・・・あとは夜、用務員が校舎を巡回していたら見たようなのだが誰もいないのにつく廊下の電気とかだな」
新校舎の方は確かトイレと廊下だけ人が通ると電気がつく仕組みだったはずだ。
「それは自分で通ったところだったとかいう何もひねられてない落ちとかではないわよね?」
「もちろんだ。だってその用務員、その時は中庭を巡回していたんだからな」
それは心霊ではなくいろいろ考えられそうなことはあるような気がするが・・・ここは私たちの手腕で上手に書けるかしらね・・・
「情報ありがとう。お礼にこれをあげるわ。枕の下に入れて使うと幸運が来るらしいわよ」
私はグリグリを渡した。さて、彼はどうなるのか。こちらの方が記事として面白くなりそうね。
さて、次は生徒会室にでも行こうと思っていたところで声を掛けられる。
優香だ。やはりそろそろ部室に戻ろうかしら。
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