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ってなわけで、斉藤君は二回目だと思っているけど、実はグラス落としたので三回目なんだよな。恐るべし、水難の相。

「ミクリさんは本物かぁ・・・」

 飲食店街に入ってすぐの小さな小さな店。両端をスナックに挟まれたその店の一階にミクリさんの占い屋がある。ちなみに二階は右隣のスナックのもので、一階を間借りしているらしい。いつの間にか店を構えていて、いつの間にかご近所さんになっていた。

 ミクリさんの占いは当たると評判で、たまに店に来た客が見てもらって、そのことを話していたりするのを聞くことがある。

 俺は占ってもらったことはないけれど。

 けど、占いはもともと嫌いじゃない。興味はある。今度機会があったら一度見てもらおうか。

 なんて思いながら鏡の前で制服を正してカウンターへ出た瞬間。

 ばしゃっ。

「この最低男!」

 顔面が一気に濡れた。スッと冷たくなってポタポタと滴が垂れる。

「お、お客様! マスター!」

 斉藤君が叫んだ。それからタオルを渡してくれる。

 水難の相が出ていたのは、その男性客か、それともやはり俺なのか。

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