第4話
その日私は彼女からの連絡を一切無視した。数十件のメール、着信、留守電。ここまでくると狂気の沙汰だ。今まで友人の恋人の束縛が激しいなどそういう人が居るというのは話には聞いていたがいざ自分になると受け入れることは出来なかった。
寝る前にもう1度携帯の画面を見ると夕方よりは減ったがそれでもメールは十数件入っていた。このまま無視を続けようか悩み一件だけメールを送り携帯の通知を消した。
-みなみの事は大切だけど、私はみなみの物じゃない。みなみが今日みたいに私を縛るなら、私はもうみなみと会わない。しっかり考えてほしい。-
彼女が何を思い何を言うかは分からないがこのままでは気持ちが冷めてしまうだけだと思った。
明日学校で何か言いにくるだろう。またその時にきちんと話し合えばいい。そう考えながら眠りについたが、彼女は次の日学校に来ていなかった。
特に気にすることもなく、私はそのまま授業を受けた。しかし彼女はその日から1週間学校に来ることはなかった。流石に心配になり、授業が終わり連絡をしようと携帯を開いた瞬間着信画面になった。彼女からだった。私は一瞬驚き付けられた痕に痛みが走った気がした。その瞬間手が止まっていたがすぐに気を取り戻し電話に出た。
- …もしもし-
- …あかり?-
-なに? -
- …この間の話…なんだけどさ… -
-うん-
-あかりの言うとうりだと思うんだ。私のものみたいに縛りすぎてた-
- …うん-
-でも、やっぱり私はあかりが好きだし、誰にも取られたくない-
- …じゃあどうしたい? 前みたいに私を縛って閉じ込める? そんなのみなみの一方的な欲望じゃん なにも変わらないよ-
- …私が変われるように支えて欲しい-
別れるかこのままと言うだろうと予想していたが思いもよらない発言に言葉を失った。
-あかりが嫌なことはしたくない。でもあかりの隣にいたい-
- …私はみなみとは違ってずっと一緒にいるのは無理だよ。お互い嫌なことも出てくるし我慢しなくちゃいけなくなる。それでもいいなら、ちょっとずつ改めて始めていこう-
私に出来る唯一の優しさは突き放さないことだった。手離したくない。そんな感情も織り交ざって醜い心が胸の内で渦巻いていた。
生温さを手放して おとうふ @otoufu0644
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